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泌尿器科系疾患の微細構造の見方(6)—膀胱腫瘍
著者: 伊東信行1 荒井昌之2
所属機関: 1名古屋市立大学医学部第一病理学教室 2名古屋保健衛生大学衛生学部病理
ページ範囲:P.525 - P.533
文献概要
膀胱癌は近年増加の傾向が見られ,職業癌の一つとしての関心も強い。その組織学的検索は,光顕的および電顕的にもなされているが1,2),実験動物との対比における研究もまた極めて活発である3)。他臓器と同様膀胱癌においても,その病理組織像についての分類は多くの人々によりなされており,JewettやU.I.C.C.などのほか研究者により,特に異型度(grading)や組織深達度(stag-ing)については論議が多かつた。
1980年,「泌尿器科,病理,膀胱癌取扱い規約」4)が刊行され,この規約に基づき膀胱癌組織検索の上で全国的に共通する分類法が用いられるようになり,この新分類によつて国の内外における統一した膀胱癌症例の診断や予後判定についての追求の際,対比検討を可能にし得る基礎が確立されたものと考えられている。
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