文献詳細
綜説
術中照射の泌尿器科領域への応用
著者: 高橋正治1 阿部光幸1 岡田謙一郎2 吉田修2
所属機関: 1京都大学医学部放射線医学教室 2京都大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.603 - P.612
文献概要
近年,がん治療における化学療法,免疫療法の進歩にもかかわらず,ある種の悪性腫瘍を除いては,いまだに手術および放射線療法が主体になつているのが現状である。しかし,手術や放射線には限界がある。たとえば,大血管に癒着した腫瘍や周囲組織に広く浸潤している病巣は,完全に摘出することが困難であろう。また,たとえ根治手術が可能であつても顕微鏡レベルの病巣が残存する可能性は常に存在する。一方,放射線治療では,組織学的に放射線抵抗性である腫瘍や,中程度の放射線感受性であつても腫瘍が大きい場合は,治癒に導くためには大線量が必要となる。したがつて,もし照射野内に放射線感受性が高く,予後を左右する決定臓器(critical organ)が含まれると,病巣に対して治癒線量を与えることは不可能である。手術や放射線治療におけるこれらの限界を克服するために,1962年阿部らによつて術中照射法(intraoperative radiotherapy)が開発された1,2)。
術中照射は,当初,手術不能な膵癌や胃癌の延命効果を目的として行われたが,その後,次第に適応が拡大され,各科領域において根治を目的として行われるようになつてきた3,4)。
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