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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科36巻8号

1982年08月発行

綜説

Wilms腫瘍の最近の治療

著者: 別所文雄1

所属機関: 1東京大学医学部小児科学教室

ページ範囲:P.701 - P.715

文献概要

緒言
 小児がんにみられる近年の治療成績の向上には著しいものがある。これにはいくつかの要因の関与が考えられる。その一つには,新しい抗腫瘍剤の開発,新しい放射線照射装置の開発,手術,麻酔などの技術の進歩など,いわばhard wareの面での進歩が挙げられる。他の面,すなわちsoft wareの面では,小児腫瘍専門医を中心とした,放射線科医・外科医・病理学者などの各専門領域の研究者間の協力関係の緊密化,この協力関係の下に多数の症例について系統的に治療計画を立て,その結果を分析する方法の進歩が挙げられる。Wilms腫瘍は白血病と共に,その頻度の面についてのみならず,小児がん研究のこのような面についても,小児がんの代表的なものである。
 わが国における現状は,残念ながらhard wareの面については欧米と大差ない状態にあるもののsoft wareの面については極めて遅れた状態にあると言わざるを得ない。症例の分散傾向が著しく,多数の施設がそれぞれ少数の患者をみており,協同研究が行い難いためそれらの施設間に何の連携もないことは,医者のエゴイズムが主な理由であることが多く,敢えて批判するまでもない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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