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綜説
セフェム系(第Ⅲ世代)抗生物質の進歩
著者: 西浦常雄1
所属機関: 1岐阜大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.803 - P.813
文献購入ページに移動第二次大戦後の抗生物質の進歩は誠にめざましく,医学の発展,平均寿命の延長の重く大きな動輪であつたということができる。現在本邦において最も多量に使用されている抗生物質はセフェム系の抗生剤である。また現時点で,実地診療上で最も期待されているものはいわゆる第Ⅲ世代のセフェム系抗生剤である。
セフェム系抗生物質の歴史は,1945年に,G. BrotzuがイタリアのSardinia海岸の下水の中からえたcephalosporium acremoniumの培養液から数種の抗生物質を発見したことから始まるが,E.P.Abrahamや,G.G.F.Newtonらがこのものに注目して精製分離に努力し,1955年にCephalo-sporin Cを分離して結晶化したことが臨床化の出発点と考えられる。Abrahamらは1961年には構造式を決定し,1962年にはこのものの母核である7-Aminocephalosporanic acid(7-ACA)の側鎖を変えることによつてCephaloridine(CER)を発見した。同様にしてR.R.Chauvetteは1962年にCephalothin(CET)を発見している1〜3)。
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