文献詳細
原著
多発性副腎腺腫による原発性アルドステロン症の検討
著者: 坂下茂夫1 久島貞一1 石井大二1 関利盛1 小柳知彦1 伊藤宣人2
所属機関: 1北海道大学医学部泌尿器科学教室 2北海道大学医学部第2内科学教室
ページ範囲:P.993 - P.996
文献概要
原発性アルドステロン症は,RIAによる内分泌学的検査のルーチン化や副腎シンチスキャン,CTスキャンなどの画像診断法の利用によつて,もはや稀な疾患ではなくなつてきた。ちなみに,ステロイドホルモン産生異常症調査研究班によれば1),1972年から1979年の間にわが国の原発性アルドステロン症は444例にのぼつていた。このような症例数の増加にかかわらず,本症と類似した臨床像を示す副腎過形成による特発性アルドステロン症との相互の関係あるいはそれぞれの疾患の病態については,未だ検討を要する問題が多々残されている。最近われわれは片側副腎に2個の腺腫を有する稀な原発性アルドステロン症を相次いで経験した。そこで北大病院泌尿器科で治療した本症を調査し,多発性腺腫を有した原発性アルドステロン症症例を集計してその臨床像を紹介すると共に,本症をめぐる最近の問題点につき論述する。
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