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症例
乳頭状腎細胞癌の4例
著者: 小松洋輔1 畑山忠1 田中陽一1 伊藤坦1 上山秀麿1 鷹巣晃昌2 佐々木美晴3 金丸洋史3 大城清4
所属機関: 1京都市立病院泌尿器科 2京都市立病院検査科 3市立静岡病院泌尿器科 4県立那覇病院泌尿器科
ページ範囲:P.1003 - P.1006
文献購入ページに移動乳頭状腎細胞癌(papillary renal cell carcinoma)は特異な細胞配列と血管造影像を示すので,放射線科領域では以前から注目され,腎乳頭状腺癌(renal papillary adenocarcinoma)という名称で特異な腎細胞癌として取り扱われてきた1)。ところが泌尿器科領域では,とくに本邦においては,腎細胞癌の組織学的所見は顆粒細胞,淡明細胞あるいは紡錘細胞という細胞型の記載に重点がおかれ,細胞配列あるいは組織構築に関する所見は多くの場合,軽視されてきた。したがつて,乳頭状腎細胞癌に注目した文献は非常に少ない。Mancilla—Jimenetzら(1976)2),Boczkoら(1979)3)はこの点を指摘して乳頭状腎細胞癌に対する泌尿器科医の注意を喚起した。
本論文では著者が経験した典型的な症例を呈示し,乳頭状腎細胞癌の特性について述べてみたい。
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