文献詳細
症例
同側同時発生をみた腎腺癌と尿管上皮内癌の1例
著者: 小山雄三1 中島史雄1 馬場志郎1 出口修宏1 実川正道1 村井勝1 中薗昌明1 田崎寛1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.1101 - P.1104
文献概要
重複癌は1860年Billrothが,本邦では1901年林がその1例を報告して以来,平均寿命の延長,癌診断技術の進歩,治療法の向上などにより,年々増加しつつある。腎腺癌や腎盂尿管癌は泌尿器科領域では稀な疾患ではないが,それらの重複癌症例は本邦では現在まで自験例を含め14例と少ない。腎腺癌や腎盂尿管癌は時に診断困難な症例もあるが,通常,正確な術前診断がなされるものである。しかし,腎実質性腫瘍と上部尿路上皮癌との重複症例を文献的に検討してみた結果,同側性同時発生した症例では診断上若干の問題が生じてくることが判明した。われわれは腎腺癌と尿管癌の合併した1例を経験したので,文献的考察を加え以下に報告する。
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