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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科37巻3号

1983年03月発行

文献概要

綜説

前立腺肥大症の薬物療法

著者: 島崎淳1 宮内大成1

所属機関: 1千葉大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.199 - P.209

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はじめに
 高齢者社会の到来と共に泌尿器科疾患の増加が予想され,そのなかで前立腺肥大症は重要なものの一つである。病理学的には50歳以上より発生し,70歳代にはほぼ全例に見出される疾患であるが,症状をあらわす臨床的前立腺肥大症はその10〜20%位といわれる。前立腺肥大症は良性の増殖なので,治療は前立腺肥大症に由来する排尿障害の増大およびそのため惹起される膀胱や上部尿路の機能低下の予防として行うものである.症状発生は結節の部位が関係するので一概にどの程度の重量になるとおこるといえないが,ある大きさが必要である。実際に摘除された結節の重量は平均30〜60g位であることもこれを裏づける。したがつて手術適応に至らない前立腺肥大症については,患者の症状軽減のために薬物療法が行われる。また現状では不可能であるにせよ手術適応の大きさに達した前立腺肥大症も薬剤により退縮できれば,重症の合併症のため手術療法にふみきれないものに対し大きな治療手段になろう。さらには前立腺肥大症の予防や,初期の肥大症に対してその発展を防止できるかなど,薬物療法には多くの期待が持たれている。これらを解決するためには,前立腺肥大症の病態生理についての理解が必要である。
 本稿では,まず最近の前立腺肥大症についての知見を紹介し,ついで薬物療法の作用機序について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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