icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科37巻3号

1983年03月発行

手術手技

膀胱部分切除術

著者: 鈴木騏一1 沼沢和夫1

所属機関: 1山形大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.213 - P.216

文献概要

はじめに
 膀胱癌に対する膀胱部分切除術は,かつて広く用いられた術式であるが,最近はTURBtの普及により,表在性腫瘍はTURBtで治療可能となり,また深部浸潤癌に対しては再発,術後転移の点から膀胱全摘除術が用いられることが多くなり,部分切除術の適応例は減少している。しかし,膀胱機能を保ち,生理的な排尿を行えることや,性機能を保持できることなど利点があり,適応を選べば,根治的な捨て難い術式とわれわれは考えている。すなわち部分切除術の適応はかなり限定される傾向にはあるが,限局した非乳頭状腫瘍で,high stage, high gradeの症例では,TURBt施行に疑問が持たれ,また全摘除術の施行を躊躇する筈である。このようなときわれわれは腫瘍の周辺に1.5cm以上の健康部を付して切除することが可能であれば,迷わず部分切除を選択している。実際に全層標本でのわれわれの検索によれば,癌細胞の血管内侵襲や,リンパ管内侵襲が,B1以下の表在性腫瘍でも24%に認められ1),とくにhighgradeの症例に多い傾向が認められている1)。したがつて,pT2以上であればTURBtの適応はなく,上記の条件が満足されれば,部分切除術が適応となると考えている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら