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術前検査の評価(4)—肝機能障害患者の手術適応と術前管理
著者: 小林迪夫1 若杉健三1
所属機関: 1大分医科大学第1外科学教室
ページ範囲:P.315 - P.319
文献購入ページに移動手術侵襲ならびにその回復過程に影響を与える全身的要因のうち,肝障害の存在はもつとも重要な因子の一つであり,術前にその有無と重症度を正確に把握することは手術適応の決定に際して不可欠のものといえる。
しかしながら,肝臓の機能は非常に複雑で多岐にわたり,肝障害の種類も,肝炎,肝硬変,肝腫瘍,門脈圧亢進症,閉塞性黄疸などの疾患によつてそれぞれ特性があるし1),さらに手術侵襲が肝に与える影響も麻酔,術式,手術時間,出血量などにより大きく異なつてくるので術前に患者の肝障害の程度や予備力の限界を推定することは非常に難しいと言わざるを得ない。しかし,手術による肝障害の増悪により,術後創傷治癒の遷延,種種の合併症の併発,最悪の場合は肝不全に陥り,死の転帰をとることもあるので,術前,術後の管理に万全を期することはもちろん,術前に肝障害の程度をできるだけ正確に把握し,適切な手術適応を決定するように心がけねばならない。
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