文献詳細
原著
文献概要
緒言
1人の患者に同時あるいは異時性に複数の異なる臓器癌が発生した場合,多重癌と呼ばれている1)。当初はもの珍しさという観点から多くの症例報告がなされてきた。しかし,癌患者が長期生存する機会が多くなつた昨今,これは決して珍しい現象ではなく,むしろこの問題を通じて癌発生のある側面を考察しようとする試みがふえてきた2)。癌の疫学的分布や環境因子との関連を踏まえて,一定の患者集団としてその特徴を眺めてみる必要があると思われる。以下,国立がんセンターで治療した泌尿性器癌のうち,もつとも数の多い膀胱癌をとりあげて重複癌の問題を考察した。
1人の患者に同時あるいは異時性に複数の異なる臓器癌が発生した場合,多重癌と呼ばれている1)。当初はもの珍しさという観点から多くの症例報告がなされてきた。しかし,癌患者が長期生存する機会が多くなつた昨今,これは決して珍しい現象ではなく,むしろこの問題を通じて癌発生のある側面を考察しようとする試みがふえてきた2)。癌の疫学的分布や環境因子との関連を踏まえて,一定の患者集団としてその特徴を眺めてみる必要があると思われる。以下,国立がんセンターで治療した泌尿性器癌のうち,もつとも数の多い膀胱癌をとりあげて重複癌の問題を考察した。
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