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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科38巻1号

1984年01月発行

綜説

実験的腎盂腎炎

著者: 大井好忠1

所属機関: 1鹿児島大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.7 - P.17

文献概要

はじめに
 感染実験の端緒はかなり素朴なものであり,何故,どのようにして感染が成立するかを知ることが当初の目的であつたと思われる。尿路感染症の動物実験感染としては20世紀初頭には,むしろ実験的細菌尿の成立に興味の中心がおかれていた。しかし,Braasch (1922)1)が偏側性萎縮腎の原因として腎盂腎炎を重視したこと,Longcope andWinkenwerder (1933)2), Weiss and Parker (1939)3)が腎盂腎炎が高血圧,腎不全の原因となり,糸球体腎炎よりも頻度が高いことを指摘して以来,臨床的関心が高まり,その結果腎盂腎炎の進展が問題となり,実験的腎盂腎炎の作成が多く行われるようになつたと理解できる。一方,腎盂腎炎の慢性化に細菌抗原または抗体が関与していることの証明と,一時期混乱していた間質性腎炎と慢性腎盂腎炎の鑑別にも貢献してきた4〜6)。実験的腎盂腎炎の感染モデルが確立された段階で実験的化学療法も施行されるようになり,ヒト腎では知ることのできない腎組織内の薬剤動態も解明できるようになつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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