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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科38巻3号

1984年03月発行

交見室

コアグラム腎盂切石術後の急性肝炎/経尿道的前立腺剥離切除術

著者: 岡根谷利一1 平岡保紀2

所属機関: 1信州大学泌尿器科 2日本医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.272 - P.272

文献概要

 コアグラムの使用については,従来から肝炎の発症がありうるとされていたが,最近われわれもコアグラム腎盂切石術後の肝炎を経験した。患者は34歳男性,コアグラム腎盂切石術を他院で施行後,遺残結石の経皮的摘出のため当科へ転科した。術後21日目の血液検査でGOT, GPTとも500〜600karmenと高値を示し,その後黄疸も出現したが約60日後にはすべて正常化した。これまでに輸血歴,血液製剤の投与歴はなく,HB抗原抗体とも陰性であり,内科で非A非B型急性肝炎と診断された。前医入院時にも肝炎患者との接触はなく,状況から手術時に使用したfibrinogen製剤,Thrombin製剤からのウイルス感染が強く疑われた。
 fibrinogenなどの血液製剤を使用する場合,多くは同時に輸血も行つているため,肝炎発症の原因を特定できないことが多い。血液,特に血漿製剤中に肝炎ウイルスが含まれていることは十二分にありうることであり,非A非B型肝炎ウイルスの有無については使用前に知ることができないため,常に感染の危険があると考えてよい。しかも輸血後の非A非B型肝炎と同様に遷延化,慢性化傾向が強いと思われるので,事は重大であり,血液製剤使用後の肝機能検査を行うべきである。肝炎発症の際は同じlot numberの製品を検査する必要があるが,本例では製剤メーカーの調査によれば,同lot numberからの発症はないそうである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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