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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科38巻6号

1984年06月発行

文献概要

交見室

H-Y抗原と性分化異常

著者: 福谷恵子1

所属機関: 1東京大学医学部付属病院分院泌尿器科

ページ範囲:P.546 - P.546

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 仲地らによる症例報告「45,X,H-Y抗原陰性のMixed Gonadal Dysgenesisの1例」(臨泌,38;349,1984)は,睾丸発生の決定因子と考えられているH-Y抗原が陰性であるにもかかわらず睾丸が存在した症例で,H-Y抗原の発現機序を議論する上で極めて興味深い。
 胎生時の未分化な性腺原基を睾丸に誘導する遺伝子はY染色体上にある。したがつてY染色体の存在しない性染色体構成の個体には睾丸は存在しないはずであるが,実際にはXX male症候群やXX型真性半陰陽などY染色体がなくとも睾丸の発生が認められる疾患が存在し,潜在モザイク説やY染色体の転座の可能性などで説明されていた。1975年WachtelらによりH-Y抗原が未分化性腺を睾丸発生へと誘導する決定因子であると提唱されて以来,XX male症候群,XX型真性半陰陽などもH-Y抗原の有無で説明できるようになつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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