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仲地らによる症例報告「45,X,H-Y抗原陰性のMixed Gonadal Dysgenesisの1例」(臨泌,38;349,1984)は,睾丸発生の決定因子と考えられているH-Y抗原が陰性であるにもかかわらず睾丸が存在した症例で,H-Y抗原の発現機序を議論する上で極めて興味深い。
胎生時の未分化な性腺原基を睾丸に誘導する遺伝子はY染色体上にある。したがつてY染色体の存在しない性染色体構成の個体には睾丸は存在しないはずであるが,実際にはXX male症候群やXX型真性半陰陽などY染色体がなくとも睾丸の発生が認められる疾患が存在し,潜在モザイク説やY染色体の転座の可能性などで説明されていた。1975年WachtelらによりH-Y抗原が未分化性腺を睾丸発生へと誘導する決定因子であると提唱されて以来,XX male症候群,XX型真性半陰陽などもH-Y抗原の有無で説明できるようになつた。
胎生時の未分化な性腺原基を睾丸に誘導する遺伝子はY染色体上にある。したがつてY染色体の存在しない性染色体構成の個体には睾丸は存在しないはずであるが,実際にはXX male症候群やXX型真性半陰陽などY染色体がなくとも睾丸の発生が認められる疾患が存在し,潜在モザイク説やY染色体の転座の可能性などで説明されていた。1975年WachtelらによりH-Y抗原が未分化性腺を睾丸発生へと誘導する決定因子であると提唱されて以来,XX male症候群,XX型真性半陰陽などもH-Y抗原の有無で説明できるようになつた。
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