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放射線診断技術の治療への応用(1)—経皮的血管カテーテルによる腎悪性腫瘍の治療法
著者: 高橋睦正1 宮脇正行1 仏坂博正1 山下康行1 藤村憲治2 管正康3
所属機関: 1熊本大学医学部放射線科学教室 2国立熊本病院放射線科 3熊本赤十字病院放射線科
ページ範囲:P.583 - P.588
文献概要
近年,種々の非侵襲的な画像診断法が発展し,従来の診断のみに用いる血管造影の頻度はやや減少しているが,代わりに血管カテーテル法を治療に応用する技法が次々に実用化され,これらをinterventional radiologyと総称し,最近の放射線医学のトピックスの一つになつている。この中で,経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter ar-terial embolization)は,最初動静脈奇形の治療や消化管出血の止血などに対して用いられたが,腫瘍に対する塞栓術としては1973年にAlmgärdら1)が腎腫瘍に用いて以来,臨床的に広く用いられるようになり,わが国でも高橋ら2)が初めてその有用性を報告している。その後,肝その他の腹腔内の悪性腫瘍に対しても広く行われるようになり,治療効果も外科的切除に比べ,優るとも劣らない成績が得られており,塞栓術は今後ますます,適応が広まつてくるものと考えられている。
本稿では,腎の悪性腫瘍に対する塞栓術の実施法や臨床的意義について,症例を中心に述べる。
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