文献詳細
綜説
文献概要
はじめに
幼若動物にエストロゲンを投与すると,多くの筋のなかで子宮筋だけが,体表面では乳腺だけが肥大する。このようなホルモンによる生体の反応は非常に興味あるもので,古くからこのようなホルモンの作用機序に関心が示された。しかし,その作用機序は,1960年以後になつてやつと明らかにされてきた。それには,それぞれのホルモンと特異的に結合するレセプター蛋白(分子量10〜30万)の発見が大きい役割を演じている。
ペプチドホルモンなどは細胞膜レセプターを介して,ステロイドホルモンなどは細胞内レセプターを介して,それぞれのホルモンの作用を発現する。ホルモンが細胞外・内でレセプターと結合すると,前者ではsecond messenger (cAMPなど)の増加を介して蛋白が燐酸化され,後者では遺伝子が活性化されてmRNAが合成されて,ホルモン作用が発現される。このようなホルモン作用機構の分子生化学的研究の進歩と平行して,レセプター異常に基づくホルモン不応症の存在も明らかにされてきた。またこのレセプター学は,癌の診断,治療にも応用されるようになつてきた。本論文では,レセプター学を臨床面へ応用されることを希望される読者が多いと考え,最近のホルモンレセプター学の臨床的意義に重点をおいて解説した。
幼若動物にエストロゲンを投与すると,多くの筋のなかで子宮筋だけが,体表面では乳腺だけが肥大する。このようなホルモンによる生体の反応は非常に興味あるもので,古くからこのようなホルモンの作用機序に関心が示された。しかし,その作用機序は,1960年以後になつてやつと明らかにされてきた。それには,それぞれのホルモンと特異的に結合するレセプター蛋白(分子量10〜30万)の発見が大きい役割を演じている。
ペプチドホルモンなどは細胞膜レセプターを介して,ステロイドホルモンなどは細胞内レセプターを介して,それぞれのホルモンの作用を発現する。ホルモンが細胞外・内でレセプターと結合すると,前者ではsecond messenger (cAMPなど)の増加を介して蛋白が燐酸化され,後者では遺伝子が活性化されてmRNAが合成されて,ホルモン作用が発現される。このようなホルモン作用機構の分子生化学的研究の進歩と平行して,レセプター異常に基づくホルモン不応症の存在も明らかにされてきた。またこのレセプター学は,癌の診断,治療にも応用されるようになつてきた。本論文では,レセプター学を臨床面へ応用されることを希望される読者が多いと考え,最近のホルモンレセプター学の臨床的意義に重点をおいて解説した。
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