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放射線診断技術の治療への応用(2)—経皮的血管カテーテルによる尿路出血の止血法
著者: 打田日出夫1 大石元1 吉岡哲也1 尾辻秀章1 松尾尚樹1 岡島英五郎2 中村仁信3 園田孝夫4
所属機関: 1奈良県立医科大学放射線科学教室 2奈良県立医科大学泌尿器科学教室 3大阪大学微研病院放射線科 4大阪大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.673 - P.679
文献概要
近年,血管造影の手技を応用した経皮的血管カテーテルによる治療法の発達により,これまで手術を余儀なくされていた尿路出血の多くを,手術することなく保存的に止血することが可能になつた。若年者に多い腎動瀞脈奇形,医原性の腎動静脈瘻,外傷,腫瘍などによる大量尿路出血を開腹せずに治療できるようになつたことは画期的なことである。尿路出血に対する経カテーテル的動脈塞栓術は,1973年Rizkら1)とBoosteinら2)による腎生検や腎外傷後の腎動静脈瘻の治療,また,同年Ringら3)による骨盤外傷性出血の止血への応用以来,多数の報告があり4〜12),筆者らも腎動静脈奇形などに対する本法の有用性について報告してきた13〜20)。経皮的血管カテーテルによる尿路出血の止血法の大多数は,動脈から塞栓物質を注入する経カテーテル的動脈塞栓術(Transcatheterarterial embolization:以下TAEと略す)であるので,本稿では尿路出血に対するTAEの手技,適応ならびに治療効果について概説する。
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