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交見室
文献概要
本誌39巻2号の「膀胱腫瘍に対するBCG膀注療法の経験」を興味深く拝読した。1970年代,腎移植の臨床に伴い,組織適合性抗原,それに対する細胞性免疫反応,それによる移植片拒絶が注目を集めた。組織適合性抗原とのオーバーラップからあいまいであつた実験動物の移植癌に対する免疫反応が検出され,動物やヒトのTSTAが記載された。実験動物の癌に対するBCGの抑制効果が認められ,白血病に対するBCGの臨床効果が発表され,癌の免疫療法への期待がたかまつた。間もなく各種のヒト癌に対するBCGの臨床治療効果が,悪性黒色腫をのぞいては期待にそむくことが知れ,動物の実験癌,移植臓器拒絶とヒト癌とでは標的細胞の数と増殖性とが桁違いであることが認識された。1976年Moralesが表在性膀胱腫瘍に対するBCGの有効性を報告し,1981年Sloan Kettering癌センターから同様の報告があり,米国でBCG膀注がひろく行われるに至つた。わが国では前川のBCG局所注入による膀胱腫瘍消失の報告(癌の臨床,24;555,1978)がある。
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