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講座 性行為感染症(STD)の診断と治療
文献概要
性器ヘルペスと尖圭コンジロームは,皮膚科外来でしばしばみられるSTDであり,梅毒,軟性下疳などの性病が激減したのに対して,最近ではウイルスなど非細菌性の病原体によるSTDが増加する傾向にある。性器ヘルペスは数年前に米国での急増が大きな社会問題となり,その影響でわが国のジャーナリズムが騒ぎ過ぎた感もあるが,皮膚科外来を訪れる患者数は明らかに増加しつつあり,とくにこれまではほとんどみることのなかつた成人の初感染である急性型単純ヘルペス感染症をしばしばみるようになつてきている。またSTDは,すべてが性行為によつて感染するわけではないが,性病に感染したという罪悪感にさいなまれ,加えてきわめて難治性であるために,ヘルペスノイローゼともいうべき患者をみるようになつた。こうした疾患が増加した理由としては,性習慣が変わつてきたことにもよるが,ピルの普及によりコンドームを使用しなくなつたということも一つの理由と考えられている。
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