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綜説
LH-RHアナログ製剤の臨床応用について—特に前立腺癌を中心に
著者: 岩動孝一郎1
所属機関: 1東京大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.635 - P.644
文献購入ページに移動1971年Schallyらの研究グループによつてゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH,またはLH-RH,以下LHRH)の構造が決定され1),ついでその合成に成功して以来2),LHRHの検査あるいは診断薬としての臨床応用がさかんに行われ,この方面での内分泌学研究に画期的な進歩をもたらしたことは,われわれの記憶にも新しいところである。しかし,その治療薬としての応用に関しては,天然のLHRH製剤が比較的不安定で速やかに失活することから,より強力でかつ体内において安定で持続時間の長い同族体,すなわちアナログ製剤の開発に努力が傾注されてきた。たとえば,低ゴナドトロピン性類宦官症や男子不妊などにおいて,内因性ゴナドトロピンの分泌を賦活するためには強力かつ持続性のLHRHアナログの開発が必要と考えられた。その結果,天然のLHRH製剤に比して数十倍から数百倍もの強力なゴナドトロピン分泌作用を有するアナログLHRH Ago-nist (以下LHRH-A)の合成に相次いで成功をおさめた。
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