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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科40巻1号

1986年01月発行

綜説

男性不妊の臨床—最近の話題を中心に

著者: 守殿貞夫1

所属機関: 1神戸大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.7 - P.17

文献概要

はじめに
 不妊夫婦の原因が男性側にあることが科学的に立証されたのは,17世紀後半のHamm1)による顕微鏡での精液中精子の発見からである。近年に至り,一般の人々にも男性不妊の存在が広く知られるところとなり,泌尿器科を受診する男性不妊患者は増加してきた。その原因を男女別にみると,男性側因子によるものは欧米では40〜50%2),わが国では40〜74.5%とされている3)。男女ともに不妊因子を有するものも少なくなく,平均して10〜20%に認められる3)。それら男性不妊の病因は,造精機能障害,精子輸送路通過障害,副性器障害,機能的性交不全および精子の形態異常の5つに大別されている。しかし,これら病因の大半を占める造精機能障害による男性不妊がいかなる機転により発症したのか,すなわちその正確な病態生理をほとんど知りえないのが実状で,それらは特発性男性不妊とされる。したがつて,これら原因不明の特発性男性不妊の治療は,原因療法とはいえず,経験的に行われているため,その治療成績は必ずしも良好とはいえず,極めて困難なものである。このようなことが一般的に泌尿器科医の男性不妊に対する関心を低いものとする一つの理由とも推察されるが,逆に一層の積極的な研究が望まれるところでもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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