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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科40巻12号

1986年12月発行

特集 術後合併症の診断と対策

ストレス消化管出血

著者: 広瀬完夫1 笠野哲夫1 吉田行雄1 木平健1 木村健1

所属機関: 1自治医科大学消化器内科学教室

ページ範囲:P.967 - P.970

文献概要

はじめに
 まず,ストレス消化管出血という言葉の定義を考えてみたい。ストレスの意味するところははなはだ広く,たとえば,日常よく遭遇する消化性潰瘍の誘因の一つもストレスとされている。そこで,ここで述べるストレス消化管出血は,並木1)の言う"種々のストレッサーにより引き起こされたストレス状態において,胃・十二指腸をはじめとする消化管に発生した急性の変化に起因する出血"と定めておくことにする。言い換えれば,ストレスを原因として発症した急性潰瘍および急性胃粘膜病変(AGML)からの出血ということになる。したがつて,慢性の病変である消化性潰瘍からの出血は,これには含まれない。ストレッサーの内容は雑多である。心配,不安,怖れ,緊張などの精神的ストレスと,熱傷,外傷,手術,麻酔,などの身体への直接的な侵襲による身体的ストレスとに大別できる。もちろん,ここでは,術後合併症としてのストレス消化管出血がテーマであるから,精神的ストレスよりもむしろ,身体的なストレスが主体であることはいうまでもない。
 さて,医学の高度に発達した現代においては,手術適応が著しく拡大され,より重篤な合併症を有する患者に対しても,積極的に手術が施されるようになつてきた。しかし,このような症例においてひとたび,術後の消化管出血をみると,その重篤な合併症のために再手術も極めて難しく,したがつて,直接的に死に結びつくことも多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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