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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科40巻12号

1986年12月発行

小さな工夫

われわれの用いている経尿道的尿管瘤壁切除法

著者: 徳中荘平1 八竹直1

所属機関: 1旭川医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1021 - P.1021

文献概要

 尿管瘤の治療法は,欧米の成書では,瘤所属腎の機能がよいときには,瘤壁の切除と瘤所属尿管の逆流防止式尿管膀胱新吻合術を行い,所属腎が無機能あるいは,それに近い場合は,腎尿管摘除術を行うべきで,ectopicureteroceleはもちろん,simple ureteroceleでも単純な瘤壁の切除は術後の尿管逆流を引き起こすので禁忌と記載しているものが多い1,2)。しかし,われわれの経験では,松野ら3)が指摘しているように,単一尿管の尿管瘤でも,重複尿管の上半腎の尿管瘤でも,voiding cystoure-thrographyで瘤壁の瘤所属尿管内への反転現象(ever-tion)が認められないときには,経尿道的瘤壁切除のみで尿管の停滞が消失し,かつ逆流を生じていない。従来,われわれが行つている簡便な瘤壁切除の方法を紹介する。
 図に示すようにわれわれは,経尿道的瘤壁切除に切除用ループは使わず,組織切除鉗子(Storz UR-27072 A)を用いて,本来の尿管口の位置にかかわらず瘤の最も遠位部に小孔を開ける。中央でなく遠位部に開ける理由は残存瘤壁を膀胱粘膜下尿管壁として逆流防止機構に役立たせるためである。本法は手技が非常に簡単であり,術後の新尿管口周囲の変性壊死がおこらないので,著者らは好んで用いている。瘤壁切除の際,あまり切れない鉗子を使うと壁が裂けることがあるので,よく切れる鉗子を使うことが大切である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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