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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科40巻4号

1986年04月発行

手術手技

人工精液瘤造設術

著者: 吉田英機1

所属機関: 1昭和大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.277 - P.281

文献概要

はじめに
 精路の先天的な欠損や炎症などの精路の閉塞によるいわゆる「閉塞性無精子症」は,無精子症の原因として決して少なくないといわれている1,2)。これらの症例の多くは睾丸における造精機能は正常に保たれており,特に先天性両側精管欠損症では残存する副睾丸に成熟精子が存在していることが多いため,副睾丸に人工精液瘤を装着することにより副睾丸精子を採取し,配偶者間人工受精(AIH)に利用しようという試みが1955年のHanley3)以来種々行われるようになつて来た。
 著者ら4)も代用血管として利用されているexpanded poly-tetrafluoroethylene(E-PTFE)graftを利用した人工精液瘤造設術を試みたが,ほとんどの症例で運動精子を採取することができなかつた。その時の反省点として,1)経皮的穿刺時の圧迫によりgraftが潰れてしまうこと,2)切断開放した副睾丸管が比較的早期に閉塞してしまうこと,3)経皮的に採取した副睾丸精子の化学的処理の必要などが考えられた。これらの問題的を解決すべく今回,圧迫されても元にもどるタイプの人工精液瘤を試作し,その造設法について述べるとともに,採取した副睾丸精子の化学的処理法についても述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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