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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科40巻7号

1986年07月発行

雑誌目次

特集 尿路感染症—その変貌と対策

尿路感染症の変貌

著者: 名出頼男

ページ範囲:P.517 - P.521

 尿路感染症の変貌とはいつても,感染の本質がそれ程に変わつて来ているわけではない。たとえば,癌の死亡率の順位が変わつたもののうちでも,それぞれの癌の本態が環境の変化などによつて本質的に変貌を来したとは言えないことと同様である。
 抗生物質の登場が,一時期感染症の消滅をもたらすのではないかと思われるほど画期的ではあつたにせよ,結局は所謂primary infectionによる死亡が(結核も含めて)極めて減少するという現象をもたらす一方,opportunistic infectionと呼ばれるものがクローズアップされるに終わつている。これは感染症すべてについて言われるようになり,これが尿路感染症で特に顕著に見られることは周知の事実である。

薬剤の作用点と選択毒性

著者: 横田健

ページ範囲:P.523 - P.527

 細菌感染症における化学療法の原則は,病原細菌を殺菌または増殖抑制するが,人体には害作用の少ない選択毒性の明らかな薬剤を全身的に投与し,感染症を治療することにある。したがつて臨床的に抗菌剤を使用する時は,なぜ微生物に強い害作用を示すか,その作用点を知るとともに,なぜ人体への影響が少ないか選択毒性の理論を明確にしなければならない。第1図に示すとおり細菌細胞は原核細胞(prokaryote)で,人体を構成する真核細胞(eukaryote)と構造,機能に若干の差が見られる。この差を利用したものが抗生物質および合成抗菌剤である。原虫および真菌は真核細胞で人体細胞との差が少ない。したがつて,抗原虫剤および抗真菌剤では相当程度の副作用を覚悟しなければならない。またウイルスは人体細胞の代謝に依存して増殖するので,ウイルス特有の代謝点を阻害する薬剤を開発するのは容易でない。

抗生物質併用療法

著者: 嶋田甚五郎

ページ範囲:P.529 - P.532

はじめに
 尿路感染症は外来ならびに入院診療を問わず,通常,最も遭遇する感染症の一つである。臨床上,本症が問題となる諸点は,1)反覆(再感染あるいは再燃)発症すること,2)続発性敗血症の原発巣となること,3)尿流障害を合併する症例では難治性であることなどが挙げられる。特に,院内感染症の約40%が本症であり,そのうちの大部分がカテーテル操作を受けているといわれる。このような症例の多くは重篤かつ難治であり,更に再感染,再燃を繰り返し,次第に耐性菌あるいは複数菌尿路感染を呈する症例が多くなつてきている。当然のことながら,化学療法も併用療法が主役をなしている。しかし,新薬が次々と開発される今日においても満足すべき治療成績はえられていない。

感染予防投与

著者: 小野寺昭一

ページ範囲:P.533 - P.538

はじめに
 尿路感染症は,起因菌の同定が比較的容易であるため,尿培養の結果により感受性の優れた抗菌剤を投与することが原則であり,その治療に困ることはあまり多くはない。しかし,感染予防としての抗菌剤の投与の多くは,目標となる病原菌を類推して行うことになるため,選択すべき薬剤や,薬剤の投与の時期と投与量,投与期間などについての基準を定めることが難しく,ともすれば抗生剤の不適切な使用や過剰使用をもたらす要因となり得る。こうした予防投与における基準のなさが,耐性菌の出現や菌交代,薬剤の副作用の多発などの原因となりやすいことはすでに指摘されている1,2) 。一般にわが国においては,欧米諸国と比し抗菌剤の消費量が多いと言われており,日常行われている泌尿器科領域の手術後の抗生剤の予防投与をとつてみても,わが国においては100%に近く抗生剤の予防投与が行われているのに対し,欧米では約半数が術後抗生剤無使用例であり3),尿路のカテーテル操作後や,経尿道的前立腺手術後の抗生剤の使用の是非に関しては未だに論争が続いているのが実情である。本稿ではこうした欧米諸国とわが国における感染予防投与の状況の違いを考えながら,予防的な抗菌剤の投与の適応と方法について述べてみたい。

抗菌剤の副作用

著者: 加藤康道

ページ範囲:P.539 - P.543

はじめに
 抗菌剤の開発にかける企業努力はめざましく,引き続き多数のものが市場に出現し,またしようとしている。
 泌尿器科の領域においては,腎排泄性の良好で組織濃度も高いPC系,CEP系などβ−ラクタム剤のほかピリドンカルボン酸系,さらにはサルファ剤やテトラサイクリン系の使用される機会が多く,また一般に経口剤が多用されると考えられる。しかし,中等症以上ではアミノグルコシド剤の注射も適応となろう。

注目される抗菌剤

著者: 坂義人

ページ範囲:P.545 - P.549

はじめに
 尿路感染症をとりまく環境は年々変化してきており,host側の変化としては高齢者の増加や医療の進歩により,いわゆるcompromised hostの増えていることが挙げられる。compromised hostの増加は,感染症を難治性にするばかりでなく,日和見感染菌(平素無害菌)と称される菌群の増加やこれの病原性発来を促す結果を招いている。一方,抗菌剤の領域では各種の新しい薬剤が使用されるにつれ,これらの網の目をくぐりぬけた,より耐性傾向の強い細菌が選択的に残るなど,抗菌剤に対する新たな問題をなげかけている。
 今日までには数多くの抗菌剤がその時代の要請に応えて開発され,尿路感染症の治療に貢献してきたが,最近では,今日の環境に対応した特色のある抗菌剤が多数開発されており,新たな局面を迎えているので,これらの動向と注目される抗菌剤について概説する。

文献抄録

腎鋳型結石の治療は経皮的切石術とショック波の併用か,腎切石術か

ページ範囲:P.527 - P.527

 最近,腎鋳型結石を経皮的切石術のみで治療した報告はあるが,著者らは経皮的切石術とショック波を併用して治療し,その成績と同期間中に従来の腎切石術も行つて,その利害について報告している。
 著者らは1984年6月から1985年2月までに46症例の52腎の鋳型結石を,経皮的切石術とショック波治療の単独あるいは併用治療を行つた。また開腹による腎切石術を22例について実施し比較検討した。著者らは治療の目安として鋳型結石を部分結石と完全結石に分け,前者は2個の腎杯にまたがる結石,後者は全腎杯にまたがる結石とした。全症例について入院後に泌尿器科的X線検査,腎機能検査,血液検査,尿培養を施行し,感染があれば抗生物質を投与した。

Urological Letter

インポテンスに対するパパベリン海綿体内注射/Impotents Anonymous—インポテンス患者の治療に関する団体

ページ範囲:P.538 - P.538

 パパベリンは初めパリのDr.Viragによつて用いられたが,彼は陰茎の血管撮影に際して血管拡張を助長させるために海綿体内に他の薬剤と共に注射した。パパベリンは勃起にも有効なことを発見したし,後にはパパベリンだけを注射している。最近AdrianZorgniottiが,パパベリンとPhentolamineとを患者自身で注射することを一般化した。
 筆者は数カ月間パパベリンを海綿体内に注射している。パパベリンだけの注射でも効果的であつたが,Phentolamineだけの注射では無効だつた。最近はパパベリンを60mg用いている。効果の程度はまつたく膨張しないものから10分以内に+4の状態にまで膨張するものまでであつた。ある患者は15分で十分膨張し,性交ができて,この状態は18時間も続き,そのあと吸出と海綿体内へのエピネフリン注射でようやくもとにもどつた。

小さな工夫

T−チューブドレナージを併用した尿管切石術

著者: 大場忍 ,   東間紘

ページ範囲:P.544 - P.544

 膿腎症を伴つた尿管結石に対し,T−チューブを用いた尿管ドレナージを行い,良好な経過を得られたので報告する。
 症例は29歳女性で,5年前に一度左尿管結石で膿腎症に到り,尿管切石術を受けている。発熱,左背部痛出現し,急性腎盂腎炎の診断にて入院。入院時KUBにて,左腎杯の石灰沈着と左骨盤内に8×5mmの結石陰影を認めた。抗生物質の投与にもかかわらず解熱せず,第10病日逆行性腎盂造影を行つたところ,左尿管の結石部位での完全閉塞を認め,腎エコーで著明な水腎症を認めたため,第13病日尿管切石術を行つた。手術時,結石は尿管口より約4cm上方に嵌頓し摘出後多量の膿が排出されたため,切石部位より4cm上方にシリコン製T−チューブ(4号)を留置した。術後3日間T−チューブより膿排出が見られたが,腎盂洗浄で尿清澄となり,以後経過良く,術後12日にT−チューブ造影を行い,狭窄のないことを確かめ,抜去した.膿よりE.coliが検出され,結核菌培養は陰性であつた。術後3カ月を経過し,水腎症は軽快し尿管狭窄もみられていない。

ワイヤー電極刺入用針の工夫

著者: 鈴木隆志 ,   西沢理

ページ範囲:P.558 - P.558

 尿水力学的検査施行時の筋電図の記録に際して,ほとんどの施設においては同心針電極,双極針電極あるいは単芯ワイヤー電極を使用していると思われる。前二者においては一度の刺入で比較的簡単に筋電図が得られるが,体動によつて最適部位から外れることが多く,検査中同一の筋電図を記録し続けることが困難である。一方,後者においては二度刺入する必要があるものの,一度筋電図が得られれば体動によつても外れることはほとんどなく,得られる波形も遜色ないため状況によつては立位をとらせることもでき,通常の排尿姿勢での筋電図の記録も可能である。しかし,これまでのワイヤー電極刺入用針は,金属部分が絶縁されていなかつたため,筋電図が得られているか否かは刺入用針を抜去した後でなければ判定できなかつた。
 われわれは刺入用針に改良を加え,刺入しながら筋電図が観察できるようにしている。23G (直径0.65mm)長さ60mmのカテラン針の先端1.0mmを残し,針の部分をハブの部分までエポキシ樹脂を焼き付け被覆した。ワイヤーは直径0.1mmのステンレス鋼線を用い,先端1mmのコーティングは剥離して針の先端から折り返し,ワイヤーの脱落がないようにハブにおいてプラスチックキャップで固定した。ワイヤーの他端のコーティングも剥離し,ICクリップで挾んでアンプへの入力とする(第1図)。

手術手技

一期的尿道形成術—Asopa法

著者: 東原英二

ページ範囲:P.553 - P.557

緒言
 一期的尿道形成術は近年本邦においても多くの施設で実施されるようになつて来た1,2)。一期的尿道形成術は従来の索切除と尿道形成術を二期的に分けた手術方法よりもいくつかの点で優れている。まず手術は1回で終了する点があげられる。二期的手術では索切除によつて半年程度であつても外尿道口がむしろ後退する期間がある。この間患児は完全に女性型の排尿姿勢をとらざるを得ず,精神的に与える影響は少なくないと推測される。できるだけ余分な精神的負担は与えないのが望ましいことは論をまたない。また,Asopa法を含めて一期的尿道形成術の多くは亀頭先端部にまで尿道を形成することが可能である。二期的尿道形成術の代表的術式として本邦で広く行われているDenis Browne法3)やCrawford法4)あるいはその変法5,6)は通常冠状溝に尿道口を作る結果になる。その結果,尿は陰茎先端部からではなく,冠状溝付近より陰茎軸に対してある程度の角度をもつて放出されることになる。衣服を汚さず排尿するためには陰茎を少し上向きにつまみ挙げて排尿することになる。この時,同時に下腹部をつき出し上半身を後ろに引く姿勢となり,不自然な排尿姿勢となる。
 このような二期的尿道形成の術式の欠点に対して,Asopa法では以下のような長所があると考えられる。

講座 臨床研究のための統計学

I.対応のない場合の2標本の比較

著者: 高木廣文

ページ範囲:P.559 - P.564

はじめに
 臨床研究において,治療法や薬剤の効果を比較検討する場合,統計学の手法を用いる必要がある。しかし,臨床に携わる大多数の人にとつて,統計学は面倒で煩わしいものに違いない。その理由の一つとして,統計学の手法が多数あるため,実際の研究にどれを適用すればよいか,判断に迷うという点があげられよう。また,適当な手法を選んでも,その選択は正しかつたのか,結果の解釈に誤りはないのかなど,若干の不安が残ることもあるだろう。
 上記のような問題点を考慮し,ここでは従来とやや異なる方法により,統計学の解説を行うことにした。解説の手順として,まず例題を示し,それに対する計算の手順と結果の評価を行い,その後に用いた手法の理論と適用上の問題点などについて,簡単な説明を加えることにした。なお,各検定で用いる統計数値表は,統計学の成書には必ず掲載されているので,ここでは紙面の都合もあり,割愛することにした。読者は,それらの数値表を必要に応じて参照して欲しい。

原著

尿酸結石における尿酸2水化物の意義

著者: 戸塚一彦 ,   原暢助 ,   森口英男 ,   後藤健太郎 ,   米瀬泰行 ,   阿部裕行

ページ範囲:P.565 - P.569

1)尿酸結晶尿にて来院した症例の新鮮尿から,遠心分離により37℃で結晶を集めた。尿酸結晶は菱形板状を呈し,X線分析にて尿酸2水化物であることを確認した。
2)尿酸結石症例の蓄尿一部を冷所に保管し,多数の砂状沈殿物を認めた。砂状沈殿物は,尿酸2水化物から成る微小結石で,菱形板状結晶から構成されていた。
3)尿酸を主要な構成成分とする17結石では,純粋な尿酸(無水物)結石10個,尿酸と蓚酸カルシウム1水化物の混合結石5個,尿酸と尿酸2水化物の混合結石2個であつた。
 尿酸結石の発生には,尿酸2水化物結晶尿の存在が重要と考えられる。

症例

盲端不完全重複尿管の1例

著者: 浅野嘉文 ,   坂下茂夫

ページ範囲:P.573 - P.575

 症例は55歳女性で,下腹部痛を主訴に受診。4〜5年前より軽い右下腹部痛があつたが放置していた。IVP上右下部尿管が嚢状に拡張し,blind-ending bifid ureterが疑われ,逆行性造影にて尿管尿管逆流現象により長さ約6cmの盲端に終わるもう1本の尿管が造影され,同時に右下腹部痛が誘発された。手術的に右盲端尿管を摘出,病理組織学的にも正常尿管と同様の構造を有していた。術後,以前からあつた右下腹部痛は消失した。

膀胱全摘後,尿管回腸吻合部に癌発生をみた症例

著者: 竹沢豊 ,   大貫隆久 ,   辻裕明 ,   中沢康夫 ,   今井強一 ,   山中英寿

ページ範囲:P.577 - P.579

 膀胱腫瘍により膀胱全摘,回腸導管造設を行い,その後8年目に尿管回腸吻合部に癌の発生をみた症例を経験した。診断は内視鏡による導管内観察と生検によりなされ,初発膀胱腫瘍と同じ移行上皮癌(grade3)が証明された。この自験例を含めた本邦5症例についての検討を行つた。

尿膜管臍瘻の1例

著者: 川嶋修 ,   下山茂 ,   福士実 ,   大和健二 ,   貝森光大

ページ範囲:P.581 - P.583

 臍からの膿汁分泌を主訴とする17歳の女性に対して,臍から瘻孔造影を行つて尿膜管臍瘻の術前診断で手術を行つた。腹膜外に膀胱頂部を含めて尿膜管を摘除した。病理所見では,内腔は移行上皮ないし円柱上皮で覆われていた。膿汁の培養にて連鎖球菌が多数認められ,umbilical urachal sinusに感染が合併した症例と考えられた。

膀胱内に発生した異所性前立腺組織の1例

著者: 大橋英行 ,   岡薫 ,   入江宏 ,   関根英明 ,   北原聡史 ,   永松秀樹

ページ範囲:P.585 - P.587

 異所性前立腺組織の報告例は,そのほとんどが精丘を中心とした前立腺部尿道の腺腫性ポリープであり,膀胱をはじめ他の部位に生じたものは少ない。本症例は,22歳男性,血尿と排尿困難を主訴とし,膀胱鏡にて膀胱左側壁に非乳頭状広基性腫瘍を認めたが,経直腸的超音波検査にて良性との判断をし,腫瘤摘除術を行い得た。病理組織学的に,前立腺に酷似した所見を認め,膀胱内に発生した異所性前立腺組織と確診した。

術前診断された縦隔内上皮小体腺腫

著者: 眞田寿彦 ,   武宮三三 ,   坂口友次朗 ,   岩渕秀一 ,   亀田典章 ,   佐々木康人

ページ範囲:P.589 - P.591

 33歳,主婦。主訴は左腰部痛および頻回の嘔吐。臨床検査成績から原発性上皮小体機能亢進症および左腎結石と診断。術前部位診断としてT1/201/Tc−99mサブトラクション法によるRI診断を施行。タリウムシンチグラフィーで縦隔左上部に異常集積像をみた。胸骨縦切開にて,大動脈弓上の上皮小体腺腫(28×20×5mm, 2,300mg)を摘出。上皮小体腫瘍の術前部位診断法の一つとして,RI診断が有用であることを述べた。

小児にみられた陰嚢内脂肪肉腫の1例

著者: 西野昭夫 ,   川口光平 ,   石川義麿

ページ範囲:P.593 - P.595

 症例は10歳男児,主訴は右無痛性陰嚢内腫瘤。触診,超音波断層法にて右陰嚢内に睾丸,副睾丸,精索とは別に存在する小鶏卵大の充実性腫瘤を認めた。腫瘤摘出術を施行,腫瘤は肉様膜下結合組織層に存在し,被膜に覆われ比較的容易に摘出可能であつた。病理組織学的に脂肪肉腫の粘液型と判明。術後特に補助療法行わず16カ月を経過したが再発転移なし。本邦における陰嚢内脂肪肉腫の報告中最年少で,小児では第1例目と思われる。

印象記

中国へ招請されて

著者: 三木誠

ページ範囲:P.596 - P.597

 天津市泌尿外科研究所所長馬騰驤教授および青島医学院泌尿外科董俊友教授の招請により,1986年1月19日より1月27日まで中国を訪れる機会を得た。はじめての中国への旅,しかもTURとPNLのdemonstrationもしてほしいとの要請に多少のためらいもあつたが,董教授が東京医科大学の出身であること,講演には通訳がつくことなどを知り,お引受けすることにした。以下その経験と感想を日を追つて簡単に記してみたい。
 準備段階で,TURやPNLに必要な手術用具一式はOlympus光学が用意してくれることになつたが,いざ具体的に現地でのdemonstrationについて考えてみると,何をどこまで用意すべきかまよつた。中国での医療経験がある医師に聞いても,TURやPNLがどの程度実施されているのか不明で,北京大学や日中友好病院の様子はある程度把握できても,その他の病院のこと,とくに泌尿器科のことはあまりくわしく知り得なかつた。結局image intensifierと超音波診断装置が準備できることを確認し,他はTUR用の灌流液からディスポの注射器にいたるまですべて用意することにした。

交見室

前立腺癌stage Cにおけるエストロジェン先行・放射線治療について/一期的全尿道形成術後の尿道皮膚瘻の治療について

著者: 河合恒雄 ,   寺島和光

ページ範囲:P.598 - P.598

 臨泌40巻3号のわれわれの「前立腺癌stage Cにおけるエストロジェン先行・放射線治療の試み」に対し島崎淳教授から貴重なご意見を頂きました。ご指摘頂いた事項を十分考慮し前立腺癌放射線治療をすすめ,さらに研究成果を発表させて頂きたいと思います。どうも有難うございました。その際頂いたご質問にお答えし,今後の計画を書いてみたいと存じます。論文作成上至らなかつた点をお詫び致します。
 まず照射野ですが,照射対象部位は前立腺原発巣です。本論文の主テーマがstage B, Cの根治性を高めるための原発巣放射線治療効果に関するものでありましたのでリンパ節転移については触れませんでしたが,それはわれわれも十分考慮致しております。第50回日本泌尿器科学会東部総会において前立腺癌のリンパ節転移診断法と郭清結果と対比検討した成績を発表しましたが,われわれの症例ではstage Cのリンパ節転移率は41.7%という結果を得ております。stage Cに対するリンパ節処理は放射線か郭清をしており,最近は主として郭清を行つております。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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