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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科40巻7号

1986年07月発行

特集 尿路感染症—その変貌と対策

薬剤の作用点と選択毒性

著者: 横田健1

所属機関: 1順天堂大学医学部細菌学教室

ページ範囲:P.523 - P.527

文献概要

 細菌感染症における化学療法の原則は,病原細菌を殺菌または増殖抑制するが,人体には害作用の少ない選択毒性の明らかな薬剤を全身的に投与し,感染症を治療することにある。したがつて臨床的に抗菌剤を使用する時は,なぜ微生物に強い害作用を示すか,その作用点を知るとともに,なぜ人体への影響が少ないか選択毒性の理論を明確にしなければならない。第1図に示すとおり細菌細胞は原核細胞(prokaryote)で,人体を構成する真核細胞(eukaryote)と構造,機能に若干の差が見られる。この差を利用したものが抗生物質および合成抗菌剤である。原虫および真菌は真核細胞で人体細胞との差が少ない。したがつて,抗原虫剤および抗真菌剤では相当程度の副作用を覚悟しなければならない。またウイルスは人体細胞の代謝に依存して増殖するので,ウイルス特有の代謝点を阻害する薬剤を開発するのは容易でない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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