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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科40巻7号

1986年07月発行

特集 尿路感染症—その変貌と対策

感染予防投与

著者: 小野寺昭一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.533 - P.538

文献概要

はじめに
 尿路感染症は,起因菌の同定が比較的容易であるため,尿培養の結果により感受性の優れた抗菌剤を投与することが原則であり,その治療に困ることはあまり多くはない。しかし,感染予防としての抗菌剤の投与の多くは,目標となる病原菌を類推して行うことになるため,選択すべき薬剤や,薬剤の投与の時期と投与量,投与期間などについての基準を定めることが難しく,ともすれば抗生剤の不適切な使用や過剰使用をもたらす要因となり得る。こうした予防投与における基準のなさが,耐性菌の出現や菌交代,薬剤の副作用の多発などの原因となりやすいことはすでに指摘されている1,2) 。一般にわが国においては,欧米諸国と比し抗菌剤の消費量が多いと言われており,日常行われている泌尿器科領域の手術後の抗生剤の予防投与をとつてみても,わが国においては100%に近く抗生剤の予防投与が行われているのに対し,欧米では約半数が術後抗生剤無使用例であり3),尿路のカテーテル操作後や,経尿道的前立腺手術後の抗生剤の使用の是非に関しては未だに論争が続いているのが実情である。本稿ではこうした欧米諸国とわが国における感染予防投与の状況の違いを考えながら,予防的な抗菌剤の投与の適応と方法について述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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