文献詳細
手術手技
文献概要
回腸導管造設術はBricker1)によつて紹介されて以来,きわめてすぐれた尿路変更術として評価され本邦でもすでに20年間以上にわたり多数例に実施されている2)。本術式の特徴は遊離回腸に尿管を吻合し,腸の蠕動運動を利用し腹壁の開放性ストーマより尿を集尿装具内に排泄せしめる点にある。本術式の晩期合併症として腎盂腎炎や上部尿路結石が報告されているが,その原因として尿管回腸吻合部狭窄のほかに回腸導管の慢性阻血に起因するストーマを含む導管全体の線維化,蠕動能の低下が挙げられている3)。したがつて,回腸導管造設には,尿管と遊離回腸の血行確保には十分な注意を要するとともに,閉腹時に導管に過度の張力がかからぬようにストーマを形成することが大切である。上部尿管を吻合する場合には導管全体を後腹膜腔に固定する術式もあるが,ここでは割愛し臨床的に筆者が最もよく使用する手術手技を以下に解説する。
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