文献詳細
手術手技
文献概要
泌尿器科領域における膀胱拡大術は決して多いものでない。その理由としては,尿路結核症の減少と抗結核剤による早期治療の効果があげられる。それに代つて慢性炎症や前立腺TURの術後による萎縮膀胱が散見される。膀胱拡大術には代用品1)などを用いる方法もあるが,腸管の一部を切除して膀胱に吻合し,膀胱容量を増す方がより自然であろう。しかも,回腸を利用する場合2〜4)と結腸を利用する場合とがあり5〜7),それぞれ種々の術式が発表されており,その術式の選択には各人の慣れや好みによることが多く,いまだに確立した術式はない。われわれは,S状結腸が膀胱と近くにあり吻合しやすいこと,S状結腸内の筋肉は回腸よりも排尿力が強いことなどより,回腸膀胱形成術よりS状結腸膀胱形成術による膀胱拡大術を施行して来ている。S状結腸による膀胱拡大術は,1910年代より施行されているが,1955年にMathisen8),1958年のKüss6),1961年のBourque9)といつた方法が発表されている。われわれはこれらの方法と大きな差はないがわれわれの行つているS状結腸による膀胱拡大術について手術手技を中心に述べる。
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