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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科41巻3号

1987年03月発行

特集 小児泌尿器科手術

半陰陽に対する手術

著者: 谷風三郎1

所属機関: 1兵庫県立こども病院泌尿器科

ページ範囲:P.215 - P.222

文献概要

 本来,性腺や内・外性器の原基は胎生初期には雌雄共通であり,性の分化は性染色体,性腺形成およびそれに伴うホルモン分泌などの段階を経て,最終的に外陰部が形成されて完成する。半陰陽とは,これらのいずれかの段階でなんらかの異常が生じて発生する疾患の総称で,具体的には性腺と内・外性器が完全に一致しないことを原則とする。ほとんどの症例では外性器の異常を伴い外観的に容易に発見されるが,一部には外性器は正常女性型で性腺が精巣となる症例(精巣性女性化症など)もあり,必ずしも小児期に発見されるとは限らない。一般的には,われわれ泌尿器科医を受診する場合は両性様外陰部や高度の尿道下裂などの外性器の異常を主訴とし,治療としては目的とする性に応じて男性外陰部形成術,または女性外陰部形成術を行う。ただ,治療に先立つて性の決定を委ねられる場合には速やかに染色体のチェック,尿道造影,触診による性腺の確認などを行い,さらに技術的に満足のいく形成術が可能か否かを判断した上で性を決定し,治療方針をたてる必要がある。また,すでに決められた性への形成術が技術的に困難であると判断されれば,性の決定がなされていても性転換が必要となることもある。ただし,技術的には女性外陰部形成術の方が容易であること,将来の社会的負担や性生活のことなどを考慮して,男性から女性に転換することがほとんどである。しかし,性の決定後長期間経過している症例では性の転換は慎重でなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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