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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科41巻9号

1987年09月発行

文献概要

綜説

尿路癌と癌遺伝子

著者: 藤田潤1

所属機関: 1大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター腫瘍病理部

ページ範囲:P.745 - P.756

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はじめに
 もし泌尿器科医であるあなたに無症候性血尿が出現し,膀胱鏡検査で「乳頭腫」を発見されたとしたら,TURのみで安心できるであろうか。「せつかく早期に癌を発見していたのに……。」とはならないと言い切れるであろうか。ヒト膀胱癌細胞における癌遺伝子oncogeneの発見(1981)1)は,それまで漠然と「体細胞の自律性を伴う過剰増殖」と定義されてきたヒトの癌において,遺伝子の変化を具体的に示した画期的なものであり,癌細胞の示す種々の悪性度,予後の違いなども同様な癌遺伝子により説明できるのではないかという期待をいだかせるに十分であつた。本稿では癌遺伝子研究の進展について,尿路癌とras癌遺伝子との関係を中心に筆者の経験をもとに述べてみたい。なお癌遺伝子全般については他に優れた総説1〜8)があるので,それらを参照されたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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