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綜説
尿路癌と癌遺伝子
著者: 藤田潤1
所属機関: 1大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター腫瘍病理部
ページ範囲:P.745 - P.756
文献購入ページに移動もし泌尿器科医であるあなたに無症候性血尿が出現し,膀胱鏡検査で「乳頭腫」を発見されたとしたら,TURのみで安心できるであろうか。「せつかく早期に癌を発見していたのに……。」とはならないと言い切れるであろうか。ヒト膀胱癌細胞における癌遺伝子oncogeneの発見(1981)1)は,それまで漠然と「体細胞の自律性を伴う過剰増殖」と定義されてきたヒトの癌において,遺伝子の変化を具体的に示した画期的なものであり,癌細胞の示す種々の悪性度,予後の違いなども同様な癌遺伝子により説明できるのではないかという期待をいだかせるに十分であつた。本稿では癌遺伝子研究の進展について,尿路癌とras癌遺伝子との関係を中心に筆者の経験をもとに述べてみたい。なお癌遺伝子全般については他に優れた総説1〜8)があるので,それらを参照されたい。
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