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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科42巻1号

1988年01月発行

綜説

癌転移のメカニズム

著者: 鶴尾隆1

所属機関: 1癌研究会癌化学療法センター

ページ範囲:P.7 - P.16

文献概要

はじめに
 転移は癌の特異的,かつ重要な特徴である。外科手術による原発癌除去の成功率は高くなっても,癌が診断される時点で半数以上の患者で,すでに転移がおこっている。したがって,癌で死亡する場合,転移が原因であることが多い。また転移癌の治療を考えた場合,化学療法以外の方法による治療は困難である。それだけに転移癌の治療は化学療法にとって重要な課題である。
 癌が転移する時,その転移癌細胞はチャンスによってランダムに選ばれる(転移の偶然性)ものであろうか,それともなんらかの因子によってノンランダムに選ばれる(転移の必然性)ものであろうか。転移は原発部位からの癌細胞の遊離,脈管を介しての移動,臓器脈管への接着,浸潤,さらに増殖のプロセスを含む複雑な現象である。またこの複雑なプロセスは宿主因子と転移細胞因子の両方に影響される。この複雑なプロセスを経て形成される癌転移は決して偶然性で説明できるものではない。しかし,逆にすべてが必然性で説明できるかと言えば,これもまた決してそうではないと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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