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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科42巻10号

1988年10月発行

講座 泌尿器手術に必要な局所解剖・4

Ⅰ.腎臓—C.血管(2)

著者: 佐藤達夫1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部解剖学第2講座

ページ範囲:P.871 - P.876

文献概要

腎動脈
 前回,腎茎の説明に付随して腎動脈の枝分かれについても少し触れた.すなわち,腎動脈は前後2枝に分かれて腎盂の前後で腎洞に入り(したがって前枝を腎盂前動脈幹,後枝を腎盂後動脈幹ともいう),前枝はさらに4枝に分かれ,結局,前後あわせて5つの区域動脈として腎に分布する(第1図)。この5つの区域動脈という概念は現在の国際解剖学用語1)に採用されているが,それはGraves2)の鋳型標本による労作を取り入れた結果である.ただし,解剖学用語とGravesの名称は異なるので,文献を読む場合に注意が必要である(第1表)。以下,5つの動脈についてGraves3)に従って簡単に触れておく(用語は解剖学用語にならう)。
 上区動脈は前枝から(43.3%),前枝と後枝の又から(23.3%),あるいは後枝から(10%)起こるが,残りの約25%は腎門を通らないで直接,上極部に入る。この場合,腎動脈の中点よりも大動脈側,あるいは大動脈から直接起こる。大まかに言って,起始位置が腎から遠い程(大動脈に近い程),その枝は腎門をはずれて直接腎に進入する率が高くなる。また,このような動脈では副腎へ枝を出す場合が多い。全体の約1/3の例では,上区には細い動脈が余分に進入しており,これはしばしば後枝から出て後面に進入する。また上区動脈が欠損していると思われる例では,次に述べる上前区動脈から起こる小枝で置き換えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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