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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科42巻12号

1988年12月発行

綜説

偶然発見された腎細胞癌—発見契機の考察と発見方法としての超音波診断法

著者: 河邉香月1

所属機関: 1浜松医科大学・泌尿器科

ページ範囲:P.1045 - P.1054

文献概要

 はじめに
 腎細胞癌は,近位尿細管起源の悪性腫瘍である。その臨床症状は,血尿,腫瘤,疼痛をトリアスとし,腫瘍マーカーとして優れたものはないことが特徴である。最近X線CT(以下,CTと略す),および超音波診断法(以下,USと略す)の普及にともない,腎細胞癌が「偶然」発見されることが多くなり,従来のトリアス(あるいはそのうちの1つまたは2つ)や,長い間使われている静注性腎盂造影法(以下,IVPと略す)によっては発見できなかったであろう早期に,治療すなわち腎の摘除を行うことができ,治療成績向上に役立ったとして発表されるケースが相次いだ。
 AUAの1987年(Anaheim)および1988年(Bos-ton)で,一見相反する論文が発表された。一つは1),40年間の212例の腎細胞癌の観察で,偶然発見(incidentally noted)の腎細胞癌は82%が限局したものであり,これを除くと40年間の腎細胞癌の治療成績は,ほとんど向上していないということであり,最近治療成績が向上したかに見えるのは,USのような手段によって偶然発見腎細胞癌(したがって早期癌)の比率が増加したためにほかならないとしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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