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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科42巻4号

1988年04月発行

交見室

根治的膀胱全摘出術と尿路変向術の狭間に/日本にもメディカルィラストレーターを

著者: 北島清彰1

所属機関: 1日本大学泌尿器科

ページ範囲:P.380 - P.381

文献概要

 膀胱摘出後の尿路変向術として体外集尿器を必要としない腸管を使った代用膀胱の手術が行われていますが,ほとんどの方法がストーマを腹壁に形成しています。しかし,多くの患者は尿道から自分の意志で排尿できることを望んでいます。この要望に応えるために種々の手術が行われていますが,その中の一つにGhoneimら(J.Urol.,138:1150-1154,1987)の方法があります。これはurethral Kock pouch (以下排尿式Kock回腸膀胱)と呼ばれ,膀胱摘出術後にKock回腸膀胱を形成して,pouchを尿道に吻合しています。私たちもGhoneimらの方法を参考にして1症例に排尿型Kock回腸膀胱を作成しました。この手術経験を基にして排尿式Kock回腸膀胱について私見を述べさせていただきます。
 症例は22歳の男性で,膀胱頂部に浸潤性腫瘍があり,根治的膀胱全摘出術,Kock回腸膀胱を薦めました。膀胱の摘出は納得しましたが,尿路変向術を拒否して,尿道より自己排尿ができること,勃起が完全であり,正常射精ができること,の二つの条件を出してきました。膀胱腫瘍の根治手術の概念からは不可能な条件でしたが,前立腺,精嚢,精管を残して膀胱を摘出,リンパ節郭清術は神経保存を第一にして行いました。排尿型Kock回腸膀胱造設術は,まず55 cmの回腸を曠置して,20cmの逆U字回腸(足方より見て)を作って中央縫合と切開を行いました。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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