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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科42巻6号

1988年06月発行

雑誌目次

綜説

女性遠位部尿道の狭窄性変化

著者: 宮川征男

ページ範囲:P.483 - P.487

 時の流れの中で,人間を取り巻く環境は確実に変化していくが,病気もこれと無関係ではあり得ず,種々の意味でその影響を受けていく。前立腺癌の増加,尿路性器結核の激減,結石波の問題等,泌尿器科領域でもこの例は多くみられる。しかし,病気そのものの本質的意味が変わることはきわめて考えにくいことである。
 今から20年程前,少女の遠位部尿道狭窄は繰り返す尿路感染症や膀胱尿管逆流の,また,尿失禁の最大の原因の1つと考えられ,盛んに拡張等の治療が行われてきた。しかし,現在ではそれ程重要で,頻度の高い病態とは考えられておらず,診断の煩雑さやその際の患児の受ける苦痛のこともあり,余り省みられなくなっている。

手術手技

恥骨後式前立腺摘除術

著者: 三軒久義 ,   北川道夫

ページ範囲:P.489 - P.494

 前立腺肥大症に対して開創手術の行われる頻度は著しく減少した。TURが主流となり,開創手術を全く行わない施設も増えている。国立病院8施設の統計でも開創手術は16%に行われたにすぎない1)。開創手術のなかでは恥骨後式前立腺摘除術が恥骨上式よりも多く行われていた。術前に直腸診,X線検査,超音波検査などで腺腫の大きさを推測し,40g以上で膀胱に腫瘍や結石などを伴わないものに本手術法を実施している。本法はTURや恥骨上式にくらべ操作がやや繁雑な反面,出血が少ないため安全な手術である。出血量の平均は300mlであり,多くの場合輸血を必要としない。手術時間は60〜90分である。術後のインポテンツは,かなりの頻度で出現するが,尿失禁を起こすことは稀である。
 Millin2)の報告以来,多くの改良が加えられたため,細部では術者により少しずつ異なる。筆者らが行っている方法を以下に解説する。

教室だより

山形大学泌尿器科学教室

著者: 久保田洋子

ページ範囲:P.495 - P.495

 山形大学泌尿器科学教室は,1976年の講座開設以来,鈴木騏一教授主宰のもとに,12年目を迎えました。若干12歳の新しい教室ではありますが,22名の教室員が一団となって研究面,臨床面において活発な活動を展開しております。22人の教室員の出身地は北海道から名古屋におよび,関東以西の者が3分の1を占めており,山形出身者とほぼ同数となっております。また,他大学出身者も多く,様々な生活習慣からくる多様な思考過程が教室の活動的な気風につながっていると考えられます。当教室では,鈴木教授の座右の銘である「和」という書の額が教室の正面の壁に飾られてあり,この字のごとく,教室員が皆協力しあい,和やかな雰囲気の中で,研究に励んでおります。また,若い教室でありますので,古い因習にとらわれることなく,自由な議論が行われる機会も多く,これにより,伸び伸びとした明るく若々しい教室の雰囲気がつくられているように思われます。
 研究においては,鈴木教授と沼沢講師を中心に,膀胱癌の進展ならびに転移に関する研究を主軸とし,癌細胞の脈管内侵襲例における癌化学療法の臨床研究,術前動注癌化学療法,培養細胞による抗癌剤感受性試験および転移能の研究が精力的に行われています。また,鈴木教授の指導のもとに,斉藤助手を中心に,慢性水腎症の腎機能評価と回復能の研究が行われています。

長崎大学泌尿器科学教室

著者: 湯下芳明

ページ範囲:P.561 - P.561

 長崎大学医学部は,1857年(安政4年) J.L.C.ポンペ・ファン・メールテルフォルトにより開講された長崎医学校を母体として,長崎医学専門学校,長崎医科大学,長崎大学医学部へと発展してきた,本邦でも最も歴史ある医学教育施設である。泌尿器科学教室は1961年4月皮膚泌尿器科学教室から泌尿器科学教室が分離・独立した際に,当時の岐阜県立医科大学より近藤厚教授(現名誉教授)が初代教授として着任し開講された。1980年8月近藤教授の退官に伴って斉藤泰教授が助教授より第2代教授として就任され,現在に至っている。
 1988年4月現在の医局員は55名で,このうち大学病院在籍者は斉藤泰教授,金武洋助教授の他,講師2名,助手4名,医員5名,研修医3名,大学院5名の合計21名で,この中にはバングラディシュよりの留学生P.K.Sahaが大学院生として研修している。関連病院としては長崎県を主体として佐賀県,福岡県,山口県,広島県,愛媛県の計6県にわたって21施設に医局員が派遣されている。

講座 手術・生検材料の取扱い法

Ⅵ.副腎

著者: 亀谷徹

ページ範囲:P.497 - P.501

副腎材料の特殊性
 副腎が生検や手術の対象となることは,前記各臓器に比較すると,第一に頻度としてはかなり低い。それは副腎が外科的疾患の対象となることが少ないことも一因であろう。第二に対象となるのは,腫瘍が大部分で,腫瘍でない材料でも,増殖性病変(両側性過形成など)の確認のためか,腫瘍における周囲副腎の反応性変化(萎縮か肥大か)を知り,鑑別に役立てるための情報を得るために必要となる場合である。第三に,副腎はホルモン産生臓器で,しかもステロイド系ホルモンとカテコールアミン系という全く性質の異なるホルモン産生を兼ねそなえるという特殊性がある。
 したがって,材料の取り扱いにあたっては,頻度が少ないため,よほどの症例が集中する施設でないと,その取り扱いに慣れていないというハンディキャップがある。さらに多くの大学病院を含む施設では,慣習的に泌尿器科で手術する場合もあるし,腹部外科で手術する場合もあり,副腎外科のティームが統一されていないことがあり,これは病理側にとっては甚だ迷惑なことで,甲状腺外科(外科と耳鼻科)と同様「科内の事情」などといわないで,心を開いて,統一して欲しいものである。さらに,ホルモン産生と密接に関係した病変が多いから,古典的なHE標本のみを観察するだけでは十分でなく,ホルモン産生,分泌を分析できるような検索が重要となる。

Urological Letter

膀胱癌からの上部尿路移行上皮癌の再発/ペニスは殺人の凶器になり得るか

ページ範囲:P.501 - P.501

 最近,レジデントの卒業時に,Dr.Howard SmithがTaあるいはT1の移行上皮膀胱癌についてそのあとで上部尿路に再発した例の頻度を,病院のカルテについて統計をとった。Taが62例,T1の腫瘍が22例あった。平均追跡日数は49ヵ月であった。
 以上のうち4例(4.8%)に上部尿路に腫瘍が発見された。3例は初めのTCCAという診断がついた時点から2ないし4年後に上部尿路に発生したが,1例は膀胱と同時に上部尿路にも発見されたのである。

原著

新しいタイプの腎盂尿管操作用カテーテルの開発とその臨床応用

著者: 三木誠 ,   秋鹿唯男 ,   平田亨 ,   清水弘文 ,   栃本真人 ,   伊藤貴章 ,   塩沢寛明 ,   辻野進 ,   小柴健一郎

ページ範囲:P.505 - P.510

 挿入が容易でいろいろな腎盂尿管操作に応用できる,新しいタイプのカテーテルを開発し,各種臨床例に使用した。このカテーテルはポリウレタン製で,9Frまたは12Fr,長さ45cmの洗浄孔つきカテーテルと,6Frまたは9Frのダイレータからなっている。経皮的腎切石術に際し尿管閉塞バルーンカテーテルに代えて,腎結石25例,尿管結石24例に使用し,腎盂の描出,砕石片の洗浄,結石のおし戻し(成功率54.2%)に尿管閉塞バルーンカテーテル以上に有用であった。また12Frのものを軟性尿管腎孟鏡のシースとして16例に使用し,良好な視野での観察ができた。上記以外の操作への応用についても言及した。

高齢者膀胱腫瘍に対する放射線併用ブレオマイシン加温水療法

著者: 五十嵐辰男 ,   村上信乃 ,   山城豊 ,   富岡進 ,   七條祐治

ページ範囲:P.513 - P.516

 83歳以上の多発性,または進行性膀胱腫瘍症例6例に対し,放射線併用ブレオマイシン加温水療法をおこなった。全例に42.4〜95.6%の腫瘍縮小ないし,腫瘍数の減少を認めた。TURを施行した3例の手術時間は8〜38分,平均25.7分であり,本療法はTURの術前処置として有効と思われた。進行癌の症例では血尿などの自覚症状が消失した。現在までに死亡例は3例あるが,全例他因死であった。副作用は全例に膀胱刺激症状を認めたが,一過性であった。本療法は高齢者膀胱腫瘍の治療に有用であると考えられた。

前立腺肥大症の外来経尿道的切除

著者: 南孝明

ページ範囲:P.517 - P.519

 1986年5月から50歳より91歳までの前立腺肥大症患者43例にサドルブロックで経尿道的切除を行い,当日退院させてきた。新たな合併症も起こらず,1例の輸血もせず安全に施行できた。経費も在来の入院した場合よりも約70%軽減できた。

小さな工夫

精管結紮術の一工夫—陰嚢正中切開法

著者: 山本秀伸 ,   宍戸清一郎

ページ範囲:P.511 - P.511

 精管結紮術は,泌尿器科医にとって初歩的で,比較的容易な手術であるが,我々はより簡便で,皮膚切開も一箇所で済む方法を施行しているので紹介する。
 陰茎根部内側,陰嚢縫線の近くで一側の精管を触知し,手で保持した後,22ゲージの注射針を局麻剤を注入しながら,精管の外側で陰嚢に穿刺し,精管の背側を通して,精管内側の陰嚢へ穿通させる(第1図)。次に対側の精管も陰嚢縫線部近くで触知した後,逆の手順で陰嚢を同じ注射針で穿通させる。注射針の先端には,ゴムキャップをかぶせる。約3cm離して同様な操作で,注射針を陰嚢に穿通させる。これによって,両側精管は陰嚢縫線近くで,陰嚢皮膚に固定されることになる(第2図)。上下の注射針の間で,陰嚢縫線に約2cmの縦切開を加え,以下型どおりに精管結紮術を両側精管に対して行う。

尿管鏡にガイドワイヤーを留置する工夫

著者: 栗原潤 ,   黒川公平

ページ範囲:P.560 - P.560

 初心者が経尿道的砕石術(TUL)を行う場合,内視鏡をガイドワイヤーに添って尿管口を通過させ,砕石することが安全でしかも確実である。しかし,尿管口のダイレーションに使用したガイドワイヤーを,尿管鏡先端より第1図に示す尿管鏡側孔に留置することは困難である。そこで我々は,次のような工夫を行い,一度の操作でガイドワイヤーを尿管鏡側孔に留置している。
 1)内視鏡下に,ガイドワイヤーを尿管口に挿入し,通常のごとく尿管口のダイレーションを行う。

症例

ベリニ管癌の1例

著者: 米瀬淳二 ,   田利清信 ,   辻井俊彦 ,   田久保海誉

ページ範囲:P.521 - P.523

 63歳,男性。主訴は,無症候性血尿。CT,AG等にて左腎盂あるいは腎腫瘍が疑われた。手術標本にて腎実質より腎盂に突出する腫瘍を認めた。病理組織所見にて腎の集合管上皮によく似た細胞からなるベリニ管癌と診断された。患者は,集学的治療のかいなく術後5ヵ月目に癌死した。

腎性高血圧症を伴った小児多房性腎嚢胞

著者: 長藤達生 ,   岸浩史 ,   石部知行 ,   小笹浩 ,   斎藤寛治 ,   森忠三

ページ範囲:P.525 - P.528

 患者は3歳の女児で,左上腹部腫瘤を主訴に来院した。現症では130/100mmHgと高血圧を認め,検査所見は末梢血レニン活性値が6.5ng/ml/hrと高値を示す以外に異常はなかった。排泄性尿路造影,超音波検査,CT,血管造影,静脈血サンブリングにより,腎性高血圧症を伴う多房性腎嚢胞と診断し,左腎摘出術を施行した。肉限的および病理組織学的所見は多房性腎嚢胞の診断基準を満たしていた。術後は血圧,末梢血レニン活性値ともに正常に復した。

先天性水腎杯症の1例

著者: 堂北忍 ,   和田郁生 ,   平野繁 ,   森田隆

ページ範囲:P.529 - P.531

 学校検診で顕微鏡的血尿を指摘された16歳の女性。DIP,逆後性腎盂造影を施行し,先天性水腎杯症と診断した。先天性水腎杯症は診断に迷うことが多い,稀な疾患である。

腎oncocytomaの1例

著者: 伊藤貴章 ,   栃本真人 ,   清水弘文 ,   平田亨 ,   三木誠 ,   海老原善郎

ページ範囲:P.533 - P.535

 59歳,男性。超音波検査で右腎中央部に腫瘍を指摘され来院した。DIPで異常なく,CTにて腎実質と等吸収域を示し造影剤で増強されない小腫瘤を認めた。右腎動脈造影では異常を認めなかったが,乏血管性の悪性腫瘍を疑い,右腎全摘出術を施行した。周囲腎実質と同様の色調を示す2.0×1.5×1.5cmの腫瘤で,組織学的には好酸性顆粒状細胞質を持つ細胞よりなるoncocytomaであった。なお,本症例は本邦で24例目でかつ最小のものであった。

多房性嚢胞状腎細胞癌

著者: 小松洋輔 ,   畑山忠 ,   田中陽一 ,   伊藤坦 ,   上山秀麿 ,   鷹巣晃昌

ページ範囲:P.537 - P.539

 腎細胞癌には多房性嚢胞状の特異な形態を呈する場合がある。自験例は51歳,男性に発生した腎癌で,病理学的に詳細に検討した結果,多房性嚢胞状腎細胞癌と診断した。この型の腎細胞癌と多房性腎嚢胞に発生した腎細胞癌との鑑別について論じて,これまでの報告には混乱があることを指摘した。

後腹膜海綿状血管腫

著者: 五島明彦 ,   松浦謙一 ,   吉邑貞夫 ,   高野康雄

ページ範囲:P.541 - P.543

 53歳,男性。検診で偶然,右季肋部の円形石灰化陰影を指摘された。精査の結果,後腹膜腫瘍と診断し腫瘤摘出術を施行した。腫瘍は重量179g,9.5×6.0×5.5cmの大きさで,組織学的には海綿状血管腫であった。自験例は本邦14例目と思われる。

ケイ酸塩結石の1例

著者: 西田秀樹 ,   上田正伸 ,   岡崎敏也 ,   兵藤透 ,   宮川征男

ページ範囲:P.545 - P.547

 58歳,女性。左腎盂尿管移行部狭窄による水腎症と,腎結石にて入院した。腎盂形成術を施行し,腎結石を摘出した。摘出結石の赤外線分光分析で,結石成分はケイ酸塩98%以上であった。本症例は,ケイ酸マグネシウムを含有する薬剤の内服の既往はなかった。 本邦でのケイ酸塩結石の報告は,自験例を含め3例であると思われる。

バージャー病に合併した陰茎壊死

著者: 増森二良 ,   古川利有 ,   玉懸琢磨 ,   美濃真成

ページ範囲:P.549 - P.551

 43歳。バージャー(Buerger)病発症後5年目頃より排尿時痛と陰茎部変形とを訴え当科受診した。当科入院後,経皮的血管拡張術や抗凝固剤投与などを行い,症状は現在軽快している。
 陰茎壊死は稀であり,バージャー病に合併したのは自験例が1例目である。

多睾丸症

著者: 谷口淳 ,   武中巧 ,   星野嘉伸 ,   阿曽佳郎

ページ範囲:P.553 - P.555

 患者は3歳の男子で,生来尿道下裂と右停留睾丸を指摘され来院した。外陰部の異常の他には理学的所見に異常は認めなかった。索切除術および右睾丸固定術を行った際に,鼠径部右停留睾丸の上方に小豆大の過剰睾丸が認められた。上位睾丸摘除と下位睾丸の生検を行い,病理組織学的には共に未熟な睾丸組織であった。染色体は46XYであった。自験例は本邦第12例目となる。

Aarskog症候群の1例

著者: 斎藤文志郎 ,   本村勝昭 ,   大塚晃

ページ範囲:P.557 - P.559

 5歳,男児。両側停留精巣の手術を目的に入院した。2歳時,低身長・特異的顔貌・短指症・両側停留精巣・外陰部形態の異常などによりAarskog症候群と診断された。入院後,内分泌系等に問題なく両側精巣固定術を施行した。自験例は文献上,本邦17例目と思われる。

画像診断

膀胱瘤による水腎水尿管

著者: 渡辺健二 ,   山下俊郎 ,   中川龍男

ページ範囲:P.562 - P.565

 患者 80歳,女性。
 主訴 発熱。
 初診 1988年1月13日。
 既往歴 52歳の時,子宮脱のため腹式子宮摘除術。
 現病歴 1987年7月頃より38℃以上の発熱が時々出現し,11月中旬より無症候性血尿も時々出現するようになった。12月29日発熱のため近医を受診。尿所見より急性腎孟腎炎と診断され抗生剤の投与により発熱は軽快したが,右上腹部腫瘤が触知されDIPおよび腹部CT検査にて右腎腫瘍および左水腎症と診断された。1988年1月13日来院。1月27日手術目的で入院となった。
 現症 右季肋部から臍下2横指に及ぶ硬い腫瘤を触知。腟口より小鶏卵大の膀胱瘤が脱出。
 検査所見 血液一般,血液生化学および尿検査では,軽度の貧血と低蛋白血症を認める以外は正常。

文献抄録

ESWLの合併症としての腎周囲血腫

ページ範囲:P.565 - P.565

 ESWLの主な合併症は,破砕された小結石による尿流障害が7%程度にみられ,また腎周囲血腫の発生は0.2〜0.4%の頻度でみられる。腎周囲血腫の発生頻度は低いが,腎機能を障害して腎性高血圧の原因となったり,輸血を必要とすることもしばしばである。著者らは腎周囲血腫を惹起する要因などについて種々検討して報告している。
 被検症例は1984年2月から1986年1月までに,HM3型Dornier砕石機で治療した3,208名について調査した。砕石後の腎超音波検査で腎周囲血腫が発見された時には,CTとMRIにより血腫の拡りを検索した。またその所見から必要に応じて腎動脈撮影も施行した。

交見室

腫瘍マーカー染色の有用性,他

著者: 徳中荘平

ページ範囲:P.567 - P.568

 本誌42巻3号の影山先生他の「膵癌の精索転移」に関連して,摘出組織の腫瘍マーカー染色の有用性について私たちの経験をまじえて述べたいと思います。
 影山先生は,両側精索に中等度分化の腺癌を認め,CTと膵胆管造影で膵尾部癌を確認,血清CA 19-9が高値で酸ホスファターゼが正常値。消化管,前立腺に異常を認めなかったことより膵癌の精索転移と診断されています。転移性精索腺癌の原発巣としては,消化管腫瘍,膵癌,胆嚢癌,前立腺癌などが考えられます。本症例の場合,触診で前立腺が正常だったことより,前立腺生検は行われていないようですが,触診でわからないステージA2程度のサイズの前立腺癌でも遠隔転移がみられることが報告されていますので,前立腺癌転移可能性の除外のためには前立腺の生検はされたほうがよいと思いました。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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