文献詳細
綜説
尿路系のMRI
著者: 西川潤一1 八代直文2 飯尾正宏2
所属機関: 1東大医学部附属病院分院放射線科 2東大医学部附属病院分院放射線医学教室
ページ範囲:P.671 - P.679
文献概要
1982年,日本に最初の臨床用の装置が設置された1HのMRI(magnetic resonance imaging;NMR現象を利用して三次元画像を得る方法)は,X線CTにない利点をもつため,1988年1月現在,全国で227台の設置を数えるまでになった。ちなみに,1988年1月現在のX線CTの設置台数は5382台である。MRIの特徴は,主に任意の断層像が得られることと,軟部組織のコントラスト分解能(軟部組織間の微妙な違いを区別する能力)が良いことである。この特徴のため,脳神経領域ではMRIは今や必須の画像診断法となっている。MRIは,撮影時間が長いので生理的な動きの影響を受けやすく,画質が劣化するので,臨床に導入された当初は,脳神経領域以外では,生理的な動きの影響の少ない四肢,骨盤臓器,脈管腔が造影剤なしで描出できる利点を生かした循環器などの一部の領域の臨床応用が盛んであった。最近では,装置の改良,ソフトウェアの開発も進み撮影時間の短縮がはかられ,臨床導入当時は,X線CTと比較して明らかに劣っていた領域でも,X線CTと同等の診断情報を提供するようになってきた。
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