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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科42巻8号

1988年08月発行

交見室

前立腺全摘除術における膀胱尿道吻合法について,他

著者: 宇佐美道之1

所属機関: 1大阪府立成人病センター泌尿器科

ページ範囲:P.755 - P.756

文献概要

 前立腺が摘除された後の膀胱と尿道断端との吻合法にはVest法,Millin法,Bladder flap法などがある。Vest法は膀胱と尿道との直接吻合を行わずに膀胱側壁に1〜2本の支持糸をかけ会陰部に出して牽引固定する極めて容易な術式である。Millin法は膀胱頸部の切開面を極力小さくすることで膀胱の縫縮をせずに尿道と直接吻合する方法である。FlocksとCulpが尿失禁の防止手術として提唱したBladder flap法は膀胱弁による後部尿道形成術ともいうべきもので,膀胱前壁に幅3〜4cmの遊離弁を作りロールを形成し尿道と吻合するものである。この方法では吻合部に緊張が加わらず,膀胱三角部をあるがままに保つことができ,元の後部尿道に近い状態を再現し得る。しかしわれわれの経験では,本術式は吻合部狭窄をきたしにくく,優れた方法であるものの尿失禁の防止術としての価値はそれほど高くないと思われる。したがって最近は開大された膀胱頸部を単純に底部より縫縮を始め,Fr.24留置カテーテルの2サイズぐらい広めのところで終えている。膀胱尿道吻合は0-3クロミットカットグットの両端針付きを用いると,内・外や外・内といった針の刺入方向を気にせずに行え,結紮部は常に外側にできるので針の刺入が困難な場合もある尿道側では非常に有効である。6時,4時,8時,2時,10時,0時の順に6針かけるが4〜5針で十分なことも多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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