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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科42巻9号

1988年09月発行

綜説

化学療法とBRM

著者: 細川真澄男1

所属機関: 1北海道大学医学部癌研究施設病理部門

ページ範囲:P.765 - P.772

文献概要

はじめに
 現在,癌化学療法の進歩は顕著なものであり,泌尿器科領域の腫瘍に対する化学療法もかなりの効果があがっている1)。しかし,いずれの薬物療法でもそうであるが,癌化学療法の施行にあたっては副作用に対する配慮がとくに必要になってくる。それは癌化学療法に用いる抗癌化学療法剤(抗癌剤)は比較的に選択的に癌細胞を障害するが,その選択性は絶対的なものでなく正常細胞をも障害するからである。抗癌剤の示す副作用はしばしば治療を中断せざるを得なくすることがある。
 また,宿主生体の免疫を抑制する作用は微生物に対する抵抗性を減弱するばかりでなく,化学療法そのものの治療効果にマイナスの影響を与える2〜4)。癌化学療法は癌細胞の根絶を目的として,生体が耐える限りの抗癌剤(最大耐量)を投与して強力な治療を行っているのが現状である。しかし,化学療法の効果は抗癌剤に対する直接細胞障害作用だけでもたらされるわけではない。抗癌剤の最大耐量の投与によってほとんどの癌細胞は殺されたとしても,薬物耐性癌細胞の出現が大きな障壁となっている。実験的にこうした化学療法後に生き残った癌細胞に宿主の抗腫瘍免疫が働いたときにはじめて癌の完全治癒がもたらされると推察される5)。もし,化学療法を施行された患者の免疫能を健常に保持できれば,治療成績がもっと向上すると想像できる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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