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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科43巻11号

1989年11月発行

綜説

勃起のメカニズム

著者: 狩野健一1

所属機関: 1新潟大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.931 - P.942

文献概要

はじめに
 古来より陰茎の勃起については興味がもたれていたが,そのメカニズムについてはほとんどわかっていなかった。ギリシャから中世にかけては空気ないしは霊気が送り込まれることによって勃起するものと説明されていた。勃起が大量の血液の流入によって生じるといい出したのはレオナルド・ダ・ヴィンチであるが,人間の意志とは無頓着に起こる勃起のさらに深い機構については,さすがの彼も匙を投げたらしい1)
 しかし,近年内外において陰茎の勃起に関する研究が盛んになり,そのメカニズムの解明は飛躍的に進歩した。勃起は動脈から血液が急速に海綿体洞へ流入し,海綿体洞から流出する血液が制限されて起こることがわかってきた。 勃起のメカニズムの研究に当たっては陰茎の血管構築と血液の流れを解明する必要があり,また海綿体に流入する血液を調整している血管と神経との関係をも明らかにする必要がある。これらの研究は近年日本においても精力的に行われるようになり,その結果,勃起のメカニズムの解明は急速な進歩をとげた。しかし,いまだに勃起に関するようなことは基礎医学者のみならず臨床家にもタブー視する向きがあり,研究者の数は少ないのが実情である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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