文献詳細
手術手技 外来小手術
文献概要
睾丸の組織学的検査は男子不妊症の診断,治療方針決定,予後の推定などのために行われてきた。組織検査の重要性は現在もかわりないが,睾丸機能を推定する内分泌学的方法(ゴナドトロピン,テストステロン,エストロゲン測定,LH-RHテスト,HCGテストなど),生化学的方法(精漿中の様々な物質の測定)などが進歩し,睾丸生検の適応症例は限られたものになりつつある。現在のところ睾丸生検を行うことによって得られる情報量から,無精子症と高度乏精子症(精子濃度が5×106/ml以下)が主な適応と考えられている。一方,男子不妊症の診断以外の目的で睾丸生検の有用性を主張する報告もある。Pedersen(1987)は以前に睾丸固定術を行った停留睾丸例94例について両側の睾丸生検を行ったところ,3例(片側停留睾丸2例,両側例1例)に睾丸の上皮内癌を認め,睾丸生検の有用性を述べている。以下,睾丸生検の手技と採取した生検組織の評価法について述べる。
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