icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科43巻9号

1989年09月発行

文献概要

講座 泌尿器手術に必要な局所解剖・15

膀胱と前立腺(2)—動脈

著者: 佐藤達夫1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部解剖学第2溝座

ページ範囲:P.761 - P.767

文献購入ページに移動
 骨盤内臓の主要動脈である内腸骨動脈については,このシリーズの第10回で総論的にとり扱った(臨泌43(4):301)1)。内腸骨動脈は種々の分枝を含み,解析の複雑な動脈である。いま,その中で比較的太い臍動脈(生後は近位部を除いて閉塞し臍動脈索となる),上殿動脈,下殿動脈,内陰部動脈の4本の枝を選び,その枝分かれ順を見ると,変異の幅は大きいが,図1-Aが最も標準的なタイプである1)。この模型図では,腰動脈(索)を内腸骨動脈の主幹に見たて,他の3枝を分枝として扱っているように見える。しかし比較的解剖学的に考ると,内腸骨動脈は本来,坐骨神経に沿って骨盤の尾側を通る(帯後性,立位のヒトでは帯下性)下肢の動脈(坐骨動脈)を本幹とし,これに骨盤内臓や会陰部の動脈が併合されて形成された経緯が認められる1)。ヒトでは坐骨動脈は退化し下殿動脈として残存するので,内腸骨動脈の主軸を下殿動脈と考えることも可能である。その見方に立って図1-Aを描き直したのが図1-Bである。この図では,内腸骨動脈から,まず上殿動脈が分かれる。それ以下の下殿動脈と内陰部動脈の共通幹を殿陰部動脈幹(glutcopudendal trunk)と呼べば,臍動脈(索)はこの殿陰部動脈幹から起こるのが標準となるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら