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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科44巻2号

1990年02月発行

手術手技 難しい手術

胸郭内腫瘍血栓を伴う腎腫瘍

著者: 井坂茂夫1 島崎淳1 宮崎勝2 増田政久2 中川康次2

所属機関: 1千葉大学医学部泌尿器科学教室 2千葉大学医学部外科学第1教室

ページ範囲:P.119 - P.124

文献概要

 腎腫瘍は5〜10%に下大静脈への進展が認められ1),まれながら胸郭内,右房まで腫瘍血栓が進展していることがある。化学療法,放射線療法がほとんど効果を期待できない現状では,このような進行癌に対しても手術以外には根治を期待できる方法はなく,手術のタイミングを失すれば下大静脈閉塞にもとづく腎不全,肝不全や右房内腫瘍血栓による急性心不全などをきたす危険があり,患者はぎりぎりの生命の危機にさらされている。十分かつ迅速な術前診断のもとに手術適応を決定し,泌尿器科医を中心として心臓血管外科,肝臓外科とチームを編成し,綿密な打ち合わせを行って手術にのぞむべきである。本稿では私達の経験した左腎細胞癌の右房内進展症例の手術手技について述べる。右腎原発の場合は左腎静脈の再建は必要ないことが多い。また腫瘍血栓が浮遊状態にあれば下大静脈は切除しなくてよい。腫瘍血栓が右房壁に浸潤癒着している場合は切除不能であり手術の適応外と考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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