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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科44巻4号

1990年04月発行

交見室

いくつかのご意見に対しての私の考え,他

著者: 鈴木孝憲1

所属機関: 1群馬大学

ページ範囲:P.366 - P.369

文献概要

 偶発癌発見のための術前前立腺生検の有用性(本誌43巻6号)に対して,一條貞敏先生,河邉香月先生,大江宏先生,尾本徹男先生には貴重なる御意見を頂き有り難うございました。癌を見落として安易に肥大症の手術をすべきでないとする大江先生のお考えに同感です。前立腺肥大症に癌が合併している症例に対する触診,腫瘍マーカー,超音波診断法は,高い精度水準に達していると考えます。しかし,ルチーンに術前生検を取り入れず肥大症の手術を施行した場合,10%前後に癌が発見され,約半数がび漫性,または中〜低分化腺癌であります。術前生検を施行しない場合には癌の存在すら予想せず,肥大症としての手術療法を少なからず施行していることになり,診断不可能な癌がどの様な状態で存在するのか不明のまま,肥大症の手術を施行することに疑問を感じております。大江先生のところでは術前に前立腺肥大症181例中5例の前立腺癌を発見されており,感銘致しました。
 前立腺肥大症に癌を合併した症例に対して,初回より有効な治療法を行いたく,そのためにはどの様な努力を術前に行えばよいかと考え,ルチーンの前立腺生検を施行することに致しました。しかし,危険を伴う前立腺生検を患者さんに施行しようとは考えておりません。ルチーンに術前生検を始めた1986年以前の生検方法は,麻酔は局麻または腰麻で,経会陰的または経直腸的に行い,針はTru-Cut針で用手的に前立腺へ誘導しておりました。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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