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綜説
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の病態とその対策
著者: 菅野治重1
所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.659 - P.667
文献購入ページに移動メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)1〜15)は,病院内での分離が増加傾向にあり,有効抗菌薬が極めて少なく,一旦発症すると治療が困難となるため,現在臨床上の大きな問題となっている.MRSAは院内感染菌としての性格が強く,最初は主に外科系の診療科から検出されていたが,次第に病院内に拡散し,患者の基礎疾患が重篤な内科系の診療科からも検出されるようになり,問題は一層深刻化している.MRSAは感染症治療の困難さに加え,常在性のメチシリン感性黄色ブドウ球菌(methicillin-sensitive Staphylococcus aureus:MSSA)と同様に,医療従事者や患者の皮膚,鼻前庭,咽頭などに無症状で保菌されることも多く,病院内から除菌することも極めて困難である.このように多くの問題を抱えるMRSAについて,ここでは現在判明している耐性機構,感染症の病態,さらにMRSA感染症の治療法と院内感染対策について述べる.
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