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綜説
文献概要
DNA診断は,分子生物学の進歩により明らかとなった疾患の病因の遺伝子レベルの変化を検索することである.DNA診断の基本原理は,診断に意義のある病因となるDNAの変異や病原体に特異的な塩基配列の選択とそれを検出する適切な手法より成り立つ.DNA診断は,さまざまな病因遺伝子が単離・同定され,比較的再現性のよいDNA操作技術が確立・簡素化されてきたため,その臨床検査への応用が急速に注目されてきた.遺伝性疾患,悪性腫瘍,感染症それぞれの診断において,DNA診断は従来にない新しい情報を提供し,より適切な疾患の診断と患者の管理に貢献している.実際のDNA診断においては,その適応と結果の解釈を熟知している必要がある.DNA診断は,病因遺伝子のより一層の解明とその検出法の自動化により,臨床検査としてより広く普及するものと期待される.
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