文献詳細
日本泌尿器科臨床史・7
文献概要
男子の勃起障害は,いつごろ医学上の概念として認識されたのであろうか.わが国でインポテンスが学会のシンポジウムで,はじめてとりあげられたのが1970年の第58回日本泌尿科学会総会(南武会長)でのことであり,このことを当時の新聞が,積年のタブーを破った画期的なこととして報道したことを考えると,過去の医学では性への偏見からも,成書などには出現しなかったのではないかと思われる方も多いであろう.ところが,現存するものではわが国最古の医学書である「医心方(いしんぽう)」(984)のなかに,「男子陰痿不起」が出ているのである.
医心方は,医師の家系として公認されていた丹波家の一人,丹波康頼(912〜995)が,隋の巣元方の「諸病源候論」(610)などの中国医書を種本に編さんしたものであり,30巻から成るが,大きく分けると本草,薬性,鍼灸,養生,房内,食餌の6部分で構成されており,そのうち房内は巻第二十八にあたり,性生活や性機能障害を取扱った部分であって,さらに30章に分かれているが,これのみでも立派な性医学書といってよい.
医心方は,医師の家系として公認されていた丹波家の一人,丹波康頼(912〜995)が,隋の巣元方の「諸病源候論」(610)などの中国医書を種本に編さんしたものであり,30巻から成るが,大きく分けると本草,薬性,鍼灸,養生,房内,食餌の6部分で構成されており,そのうち房内は巻第二十八にあたり,性生活や性機能障害を取扱った部分であって,さらに30章に分かれているが,これのみでも立派な性医学書といってよい.
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