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綜説
文献概要
近年バイオサイエンスの進展により,抗がん剤耐性の分子機構の解明がされつつある.このなかでもがん細胞が多くの抗がん剤に同時に耐性化する多剤耐性の分子メカニズムが明らかになり,P-糖タンパク質と呼ばれる分子量170kDaの膜タンパク質が,耐性の中心機能である抗がん剤排出のポンプであることが明らかになった.この研究の発展に伴い,他の抗がん剤の耐性機構も分子レベルで解明されつつある.その一つが,アルキル化剤に関与するグルタチオンとその関連酵素が関与する耐性機構である.本稿では,この二つの耐性機構について,その生化学的機序について述べる.
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