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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科45巻4号

1991年04月発行

雑誌目次

特集 泌尿器系疾患の和漢薬治療

今 なぜ和漢診療か

著者: 町田豊平

ページ範囲:P.277 - P.278

 続々と登場する現代医薬品の氾濫のなかで,東洋医学を代表する和漢薬が静かなブームをよび,やがて医療の世界でその市民権を得て(1976年に健康保険適用薬として収載された)からもう15年を経過した.泌尿器科領域でも十数種類以の漢方が各種疾患群に使用されているし,泌尿器科漢方研究会や各種の勉強会も盛んである.
 しかし漢方薬が,日本の保険医療の中に登場した頃の期待感は最近やや薄れ,当初の期待されたほど漢方が医師の間に浸透していないようにも思える.そこでここでもう一度,患者のよりよい治療薬を求めて私たち医師にとっての和漢薬の特質とその臨床を考えてみる必要がある.

Ⅰ.和漢診療学からみた病態の把握と認識

著者: 寺澤捷年

ページ範囲:P.279 - P.282

はじめに
 和漢診療学に基づく治療は非特異的なもので,ある特定の漢方方剤が泌尿器科領域に限って用いられるというものではない.逆に言えば,あらゆる漢方方剤が泌尿器科疾患に応用されうるものである.
 和漢診療学の体系は気血水論・五臓論・陰陽論などによって構成されているが,これらの概念を理解することによって,様々な臨床応用のヒントが得られる.そこで,本稿ではこれらの基本的概念の中から泌尿器科疾患の治療に是非とも必要と考えられる概念をとりあげて概説を試みたい.

Ⅱ.病態別和漢薬の選び方,使い方

1 尿路不定愁訴

著者: 石橋晃

ページ範囲:P.283 - P.286

はじめに
 現在,西洋医学が中心の現代医療の中で,漢方治療を単独あるいは併用する医師がきわめて増加しつつあるといわれている.この際どのような症例に漢方治療が用いられるかを,日本東洋医学会の行ったアンケートで調べてみると,まず西洋医学的に診断がつきにくく,病態生理が明らかでなく,あるいは診断がついても西洋医学的には十分な治療効果が期待できない症例という回答が多かった1).この結果はある程度妥当性があるものの,必ずしも漢方の特性を理解しているとはいいがたい.というのは従来西洋医学的治療に頼ってきた疾患でも,むしろ漢方治療がより優れている場合も少なからずあり,これらは積極的に漢方治療を第一選択にすべきと思われるからである.
 しかし,西洋医学の手の届かぬ所を補うというやや消極的な漢方の適応を考えれば,アンケートに示されたような内容になるかも知れない.そしてこのような適応症例の中にかなり多くの不定愁訴を示す例が含まれていると思われる.つまり,西洋医学的には診断が困難でありそのため治療法の選択に苦慮するような症例でも,漢方では一般的症状と脈や舌の変化,それに腹証を手がかりとして「証」を診断し,これに基づいて適応方剤を選ぶ,これを一般に随証治療と言うが,この方法で治療法を見いだすことは必ずしも不可能ではない.

2 尿管結石症

著者: 小寺重行

ページ範囲:P.287 - P.290

はじめに
 近年,尿路結石の治療方法は大きく変革し,その手術方法は定型化されつつある.そして,手術成績も向上し,高い臨床的評価を達成してきている.しかし,尿路結石のうち,尿管結石の治療については,いまだ,保存的治療が行われることが多い.われわれは,日頃,尿管結石症に対し排石促進および疼痛軽減の目的で,和漢薬として猪苓湯と芍薬甘草湯の併用内服治療を行っている.今回,これらの和漢薬の有効性について排石期間と鎖痛効果について検討を行ったので報告するとともに,その他の和漢薬の適応と問題点について若干の考察をくわえる.

3 インポテンツと造精機能

著者: 木村正一

ページ範囲:P.291 - P.294

はじめに
 最近は漢方医学に対する関心が高まり,患者が自ら和漢薬を服用していることも少なくない.漢方領域では老人の滋養強壮剤としても古くから和漢薬が用いられていたので,インポテンツや造精機能障害(精子発生障害のみでなく広義の男性不妊症を含む)についても効果が期待されている.これらの疾患に対する和漢薬の臨床成績は1982年頃から散見される.ほとんどの報告がその有用性を強調しているため,一般的にはすべての症例に効果があると誤解されていることも否定できない.しかし,インポテンツや造精機能障害の治療効果の判定は非常に複雑であることも事実である.
 ここでは我々臨床医が一般的に入手可能である和漢薬の中で,インポテンツと造精機能障害に使用し得る薬剤とそれらの効果について述べる.これまでの治療成績を詳細に検討すれば,和漢薬の適応症例も客観的にしぼることができる.しかし.症例によって必ずしも報告と一致しないことの方が多いかもしれない.患者の背景が微妙に異なり,効果を判定する場合の分類が異なっているので,仕方のないことである.

4 前立腺疾患と排尿障害

著者: 原田一哉

ページ範囲:P.295 - P.300

はじめに
 東洋医学においては,人体を自然(大宇宙)が凝縮した小宇宙と把え,病気は自然の摂理に反した結果生じる体の歪みであると考えている.それゆえ病気は,西洋医学におけるような臓器単位の異常としてではなく,機能単位や系統単位の異常または大きな部位別の異常であるとみなす.だから前立腺疾患も前立腺だけが悪いというのではなく,尿・生殖器に関係の深い腎経,肝経,脾経など三陰経の異常や,人体を三つに分けたところの下焦という骨盤系の変調によるものと考え,それによって生じるさまざまな異常の部分症状と把えるのが適当であろう.

5 泌尿器悪性腫瘍

著者: 黒田昌男

ページ範囲:P.301 - P.303

はじめに
 本邦において漢方製剤は,健康保険に採用されて以来,徐々に広く用いられるようになってきており,泌尿器科領域でも,排尿障害,尿路結石,膀胱炎などに漢方治療が応用されることが多くなってきた.最近,悪性腫瘍に対しても漢方製剤が注目され,化学療法や放射線治療などの癌治療の補助療法として広く用いられるようになってきている.
 悪性腫瘍の末期患者においては栄養状態が悪くなり,そのため癌に対する十分な治療が行えないことが多い.悪性腫瘍患者の栄養不良状態はまだ十分に解明されておらず,病因はわからずとも症状に対して用いるのを主としている漢方製剤が,その栄養不良状態の改善を目的として用いられることは容認されるべきことである.また,漢方製剤の研究から担癌患者の免疫機構を調節し,網内系を中心に患者の免疫を賦活させ,生体機能維持に役立つとされており1,2),悪性腫瘍の治療の中で補助療法として用いられることも多くなってきている3〜7)

6 腎疾患

著者: 堀井明範

ページ範囲:P.304 - P.307

はじめに
 最近の漢方製剤の各種分野への応用には目をみはらされるものがある.泌尿器科領域についても例外ではなく,今回の特集に見られるように,当領域の多数の疾患についてその効果が検討されているようである.しかしながら,西洋医学と中医学の結合が言われてから久しくなるにも関わらず,我々がやはり感ずる障害は,その独自の診断手順と漢方製剤の持つ奥の深さではないかと思われる.更にその世界の中に西洋医学の解析的手法を持ちこむことは,中医学の根本に関わる問題と考えられるが,科学としての医学を学んできた我々にとり,この過程は必要かつ不可欠である.
 我々は,これまで漢方剤の各方面での臨床効果を検討してきた.今回,与えられた課題として,蛋白尿,血尿それらに関係する腎炎に対する効果ならびに腎下垂に対する効果について,文献的考察を交えながら,私見を述べたい.

手術手技 到達法・4

下部尿管・膀胱への到達法

著者: 松島正浩

ページ範囲:P.311 - P.317

 下部尿管への到達法にはGibson切開,下腹部傍腹直筋切開,下腹部傍正中切開,正中切開,恥骨上横切開,腟切開,内視鏡的手術法などが掲げられる.昨今の内視鏡的手術法の進歩,経尿道的尿管砕石術の進歩,ESWLの急速な普及に伴い下部尿管への観血的結石除去法が激減しているのは周知の事実である.しかるに尿管狭窄,先天性異常,尿管外傷,尿管腫瘍の大部分は従来からの種々の手術方法が主流である.いずれの切開であれ,皮膚切開後は腹膜外的,経腹膜的,経膀胱的な到達法が用いられるが,腹膜外的到達法が一般的である.膀胱への到達法は上記の切開と一部重複するが,下腹部正中切開が一般的である.膀胱癌に対する膀胱全摘除術では正中切開,下腹部正中上腹部左側傍正中切開法などがよく用いられる.膀胱疾患では尿管疾患以上に内視鏡的手術法を行う頻度は高い,今回は紙面の関係上,腹部からの腹膜外的到達法を主として述べる.

講座 泌尿器手術に必要な局所解剖・23

副腎(1)

著者: 佐藤達夫

ページ範囲:P.319 - P.330

 さきに本誌42巻7号(1988年7月)から44巻4号(1990年4月)まで22回にわたり,「泌尿器手術に必要な局所解剖」を連載させていただいた.幸いに好意をもって迎えられたと聞いており,筆者にとっては望外の喜びである.その後,筆者の都合により一時中断させていただいたが,副腎,睾丸,鼠径管などの積み残しが気になっていた.今回,編集委員の先生方のご配慮を得て再開させていただくことになった.前回同様,よろしくお願い申し上げる.

Urological Letter・573

起こりうる患者の秘密漏洩に関して

著者: 三木誠

ページ範囲:P.330 - P.330

 この事件は私の先輩の婦人科医にとって突然起こったことであるが,すべての医師が知っておくべきことでもある.
 その医師は下腹部痛と腟よりの出血で入院した女性の診察のためによばれた.腟出血に胎盤組織らしきものが含まれていたので,子宮内膜除去術が勧められ,翌日実施された.その夜,回診時に二人部屋に入っている患者のところへ医師が行き,境のカーテンを閉め,手術の結果すなわち病理学者が胎盤組織を確認したことを説明した.

原著

腎細胞癌の動注併用一時的阻血療法

著者: 村橋勲 ,   細谷吉克 ,   迎圭一郎 ,   神部清彦 ,   前田節夫 ,   本田幹彦 ,   高崎悦司

ページ範囲:P.333 - P.338

 腎細胞癌50例に56回,腎動脈の血流を一時的に24ないし72時間遮断する阻血療法を施行した.50例中31例は阻血療法後腎摘除術を施行した.50例中19例の阻血療法のみの症例のうち病期4Bの症例は14例あり,そのうち3例が阻血療法のみで2年11ヵ月,4年7ヵ月,6年4ヵ月生存した(平均55.3ヵ月).他の11例の平均生存期間は5.2ヵ月であった.14例全体の生存期間は16ヵ月であった.病期4Bについて報告されている結果では平均生存期間は5ヵ月から12ヵ月という報告である.阻血療法にて末梢血のリンパ球が阻血療法後1ないし7日目の間に一時的に減少した.これは阻血療法にて腫瘍内にリンパ球が集合するためと推察された.腎摘した一部の例では腎細胞癌の組織中のリンパ球およびそのサブセットの検索も施行した.そして阻血療法にて腫瘍内に集合して来るリンパ球は,特定のリンパ球ではなく全部のリンパ球が集合しているのが観察された.これらの結果は阻血療法にT細胞が関与しているためと推察される.

超音波画像による膀胱内尿流可視化の試み

著者: 水関清 ,   近藤俊文 ,   松久進 ,   大岡啓二 ,   武田肇 ,   馬淵建夫 ,   万波誠 ,   中村泰子 ,   栗原憲二

ページ範囲:P.339 - P.343

 通常の超音波検査では描出が困難な,尿管から膀胱内へ流入する尿流を可視化するために,以下の検討を行った.1)まず基礎的実験として,希釈した非イオン性造影剤溶液を脱気蒸留水中に注入し,リアルタイムBモード超音波断層画像でその模様が描出可能であることを確認した.2)次に臨床応用として,無症候性血尿で経過観察中の10例を対象に,排泄性尿路造影に並行して膀胱内を観察し,尿管口から間欠的に噴出する尿流(尿噴流)が超音波的に描出されることを確認した.3)尿噴流の出現頻度は平均3.8回/分,尿噴流持続時間は2〜6秒/回であり,両側尿管からは異時性に尿噴流が出現していた.4)片側尿管に通過障害のある10症例の検討では,健側尿管に比し患側尿管からの尿噴流の出現頻度が低かった.

日本泌尿器科臨床史・1

泌尿器科はなぜ皮膚科といっしょだったか

著者: 友吉唯夫

ページ範囲:P.344 - P.345

はじめに
 このたび,本誌編集委員の町田豊平教授(慈恵医大)より,わが国の泌尿器科学史に関する随筆を連載するようご指示をいただいた.
 私は新設医科大学に所属しており,古い文献や専門書に恵まれているわけではない.したがってこのような欄は,古い歴史をもつ大学に所属しておられる先生こそ執筆者として適切であろう.ところが,私がいくつかの医学史的雑文を過去に出していることを根拠につよいお奨めがあり,お引き受けしたしだいである.内容的には各号ごとに独立し,時代も新旧不定であることをおことわりしておく.

病院めぐり

市立釧路総合病院泌尿器科

著者: 関利盛

ページ範囲:P.346 - P.346

 市立釧路総合病院の創立は1872(明治5)年9月である.東北海道の根室,釧路その他の計9ヵ所に官立病院が設置され,当時の道東の中心地であった根室の官立病院がすべてを統括した.この官立釧路病院が,今日の市立釧路総合病院の始まりである.その後幾度かの移転を行い,現病院は1984年9月に開設されたものである.総病床数672床,診療科は17科あり,道内でも有数の総合病院となり,道東の基幹病院として機能している.
 泌尿器科の設立は,北大泌尿器科より1956(昭和31)年8月に赴任された伊藤勇市先生によってなされた.それ以前は皮膚泌尿器科であったが,皮膚科と泌尿器科はその時完全に分離独立することとなった.その後伊藤先生は1988年病院長となり,2代目泌尿器科医長として久島貞一先生が就任した.その後久島先生は開業され,現在は関利盛が3代目医長となっている.当初1人体制であった当院泌尿器科医局も北大のバックアップもあって徐々に医師が増員され,現在は関(79年卒),窪田(80年卒),山下(86年卒),原田(87年卒),日岡(89年卒)の5人体制で,平均年齢は31.8歳である.

鹿児島県立大島病院泌尿器科

著者: 川原和也

ページ範囲:P.347 - P.347

 鹿児島県立大島病院の歴史は旧く,1901(明治34)年に創設されて以来第2次世界大戦の戦災で壊されるまで,奄美大島ならびに近隣諸島の基幹病院であった.戦後米軍軍政下,琉球政府下に置かれた後,1953(昭和28)年本土復帰に伴い病院再建の気運が燃え,1955年から1962年の間に病床数350床を有す第一線病院として新生県立大島病院が生誕した.1963年皮膚泌尿器科が開設され,鹿児島大学医学部皮膚泌尿器科学教室より,当時の同教室の岡元健一郎教授門下生が1人1年毎に派遣された.10年後の1973年泌尿器科が皮膚泌尿器科から分離独立開設され,1985年からは現大井好忠教授門下生が2人派遣されるようになり現在に至っている.
 奄美大島は,本土から南方に約380km離れ,鹿児島から飛行機で1時間,船で14時間を要する.1年を通し温暖で冬期の最低気温が7.4℃,夏期の最高気温が34.4℃である.比較的降雨が多く,スコールも入れると1年の約6割強を雨日が占める.夏は台風銀座で,昨年1990年には大型台風が3つも来襲し,多大な被害を受けた.夏はあまり風が吹かないためむし暑く感じ,冬には強い偏西風が吹くためにそら寒く感じる.自然の美しさにも恵まれ,島の周囲は色とりどりの珊瑚礁に囲まれ,海は限りなく澄んだコバルトブルーで,その美しさには目を奪われる.

画像診断

乏血管性小腎細胞癌と高血管性骨転移巣

著者: 菅谷公男 ,   塚田大星 ,   能登宏光 ,   西沢理 ,   加藤哲郎

ページ範囲:P.349 - P.351

 患者 69歳,男性.
 主訴 左殿部痛.
 既往歴 16歳のとき肺結核.23歳のときデング熱,虫垂炎手術.25歳のとき長崎で被爆現病歴 1989年10月中旬から左殿部痛が出現し,次第に激痛となった.1ヵ月後に某整形外科を受診したところ,X線像とCTで左仙腸関節部の広範な骨溶解性腫瘍と右腎の小嚢胞を指摘された.排尿困難があり前立腺の腫大も認められたため,泌尿器系腫瘍の骨転移を疑われ,11月27日当科へ紹介となった.
 検査所見 血液一般,血液生化学,尿検査,尿細胞診とも正常であったが,前立腺性酸フォスファターゼ(PAP)1.9ng/ml,ガンマセミノプロテイン(γ-SM)4.1ng/ml(4.0ng/ml以下),前立腺特異抗原(PSA)4.2ng/ml(3.6ng/ml以下)で,γ-SMとPSAが若干高値であった.

小さな工夫

尿潜血反応試験紙を用いた逆行性射精発見の工夫

著者: 原啓 ,   三浦一陽

ページ範囲:P.352 - P.352

 尿潜血反応試験紙の反応原理はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用を利用しており,赤血球に特異的に反応するものではない.したがって,ペルオキシダーゼ様作用を持つ物質であれば赤血球が存在しなくても反応することになる.すでに我々は精液に本試験紙が強陽性に反応することを報告1)している.その後の検討で精子には関係なく,精漿に反応していることがわかった.そこで本反応を利用した簡便な検査を報告するとともに,尿潜血反応試験紙の問題点を提起する.
 さて逆行性射精の多くは,オルガスムスはあるが射精がない,いわゆる乾性射精と呼ばれているもので,男性不妊症の診断として重要である.本疾患の診断はマスタベーション後の尿の遠沈により精子の有無を判定することにより行われているが,放射線照射や化学療法剤の投与などによる無精子症の場合には簡単に診断がつかず,尿中果糖やアミノ酸分析等で判断されているのが現状である.そこで尿中に赤血球のないことを確認した患者のマスタベージョン後の尿に本試験紙を浸し,強陽性であれば精液が混入していることが簡単にわかり,かつ経済的である.

交見室

手術手技—経皮的腎瘻術を読んで,他

著者: 棚橋善克

ページ範囲:P.356 - P.359

 本誌43巻第10号に掲載されました,西村泰司先生の標記解説をたいへん印象深く拝見いたしました.といいますのも,数年前,西村先生と海外に出かけ,そのとき実際に先生の手技を見せていただくチャンスがあり,その鮮やかなテクニックに感動を憶えたからです.ところで,本誌第44巻9号での三木先生,宇佐美先生のご意見を拝見させていただき,この機会に私も意見を述べさせていただこうと筆を取った次第です.
 さて,経皮的に腎瘻を作成する場合,もっとも注意すべき点は,腎と主要な血管を損傷しないようにするということだと思います.したがって,腎の血管支配を考えた場合,腎盂ではなく腎杯に直接針を刺す手技でなければならないというのが前提条件となります.水腎の程度が強ければ,どのような手技を選ぼうともあまり大きな間違いは起きないということは事実でありますが,水腎の程度が強くなければその手技も腎機能に対する障害を少なくするよう細心の注意が払われなければならないということです.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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