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特集 泌尿器系疾患の和漢薬治療 Ⅱ.病態別和漢薬の選び方,使い方
5 泌尿器悪性腫瘍
著者: 黒田昌男1
所属機関: 1大阪府立成人病センター泌尿器科
ページ範囲:P.301 - P.303
文献購入ページに移動本邦において漢方製剤は,健康保険に採用されて以来,徐々に広く用いられるようになってきており,泌尿器科領域でも,排尿障害,尿路結石,膀胱炎などに漢方治療が応用されることが多くなってきた.最近,悪性腫瘍に対しても漢方製剤が注目され,化学療法や放射線治療などの癌治療の補助療法として広く用いられるようになってきている.
悪性腫瘍の末期患者においては栄養状態が悪くなり,そのため癌に対する十分な治療が行えないことが多い.悪性腫瘍患者の栄養不良状態はまだ十分に解明されておらず,病因はわからずとも症状に対して用いるのを主としている漢方製剤が,その栄養不良状態の改善を目的として用いられることは容認されるべきことである.また,漢方製剤の研究から担癌患者の免疫機構を調節し,網内系を中心に患者の免疫を賦活させ,生体機能維持に役立つとされており1,2),悪性腫瘍の治療の中で補助療法として用いられることも多くなってきている3〜7).
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